【TV朝鮮】(アンカー)
昨年12月末、全羅南道務安郡の務安空港で179人の死者を出したチェジュ航空2216便の事故原因を調査中の韓国国土交通部(省に相当)航空鉄道事故調査委員会では、パイロットが事故時、着陸に必要なランディングギア(降着装置)を作動させていなかったことを確認しました。事故調査委員会はこうした状況を基に、「今回の事故原因はパイロットの過失だとみられる」との見解を示しています。しかし、遺族だけでなく、専門家らも「不十分な判断だ」だと指摘しています。その理由をイ・ユギョン記者がお伝えします。
【国土交通部が規定違反】「これまで見たことがない」「犯罪に近い」 滑走路先にコンクリートの壁
(記者リポート)
鳥の群れと衝突した後、ランディングギアが下りてこない状態のまま胴体着陸したチェジュ航空旅客機。
国土交通部の航空鉄道事故調査委員会は、ランディングギアのレバーがOFF(オフ)の位置にあったことを確認していたことが分かりました。
故障ではなく、パイロットがランディングギアを下ろさなかったということです。
事故調査委員会では、パイロットが損傷の少ない方のエンジンを切るなどのミスがあったとみて、チェジュ航空がこれまで十分な訓練を実施してきたかどうかを確認しています。
しかし、専門家らは、パイロットの過失と断定することはできないと指摘しています。
ギアを下げられないほど緊迫した状況だったか、滑走路まで行ける動力を維持するためにわざとランディングギアを下げなかった可能性があるということです。
(クォン・ボヒョン極東大学航空安全管理学科教授)
「パイロットたちは『ギアを下ろす状況ではない』『下ろすことはできない』と判断したのかもしれない。当時、油圧も電気システムも利かなくなっていたため、操縦に追われていたのだろう」
今回の件で事故調査委員会の独立性を巡る問題も再び取り沙汰されています。
事故調査委員会は独立機関ですが、人事権と予算権は国土交通部にあります。
(アン・ヨンテ極東大学航空運航学科教授)
「米国家運輸安全委員会(NTSB)は独立した予算体制が整っているので、調査の際に非常に自由に行うことができます。(韓国の事故調査委員会は)独立機構としての役割を発揮できなければなりません」
パイロットの過失だとの結論が出れば、政府や航空機メーカーの賠償負担はなくなりますが、遺族と韓国民間航空操縦士協会(ALPA-K)は「本質を歪曲(わいきょく)している。コンクリート製の土台や機体の欠陥に対する調査がさらに必要だ」と反発しています。TV朝鮮、イ・ユギョンがお伝えしました。
(2025年7月22日放送 TV朝鮮『ニュース9』より)