対北不正送金事件裁判も延期…被告人・李在明の刑事裁判5件全て中断

 裁判所が、李在明(イ・ジェミョン)大統領の「サンバンウル対北送金」事件の一審の裁判を無期限延期した。これにより李大統領の公職選挙法違反事件破棄差し戻し審および大庄洞事件・京畿道公用カード流用事件・偽証教唆事件の裁判に続いて、五つの刑事裁判が全て中断した。

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 水原地裁刑事11部(裁判長:宋秉勲〈ソン・ビョンフン〉部長判事)は22日、李大統領と李華泳(イ・ファヨン)元京畿道平和副知事、サンバンウル・グループのキム・ソンテ元会長の特定犯罪加重処罰等に関する法律違反(賄賂)・贈賄などの事件の公判準備期日を開き「被告人(李大統領)は現在大統領として在職しており、国家元首として国を代表する地位にある」「憲法が保障する職務に専念し、国政運営の継続性のために、期日を追定(追後指定、次の期日を指定しないこと)する」と明かした。

 ただし、共同被告人の李・元副知事とキム元会長については、来たる9月9日に本裁判を開くこととした。裁判部は「(大統領の任期が終わる)5年後に裁判をしたら関連陳述などが不明確になりかねない」「実体的真実の発見のために、いったん進めたい」と述べた。

 先に李大統領の弁護人側は今月4日、期日追定を求める弁護人意見書を裁判部に提出した。意見書には、李大統領の期日追定など裁判手続きの進行に関する内容が含まれていたという。

 下着大手サンバンウルの違法対北送金事件は、李大統領が京畿道知事だった2019年、当時の李副知事と共謀して京畿道の北朝鮮スマートファーム支援事業費500万ドル(現在のレートで約7億3300万円。以下同じ)、李知事の訪朝費用300万ドル(約4億4000万円)、合わせて800万ドル(約11億7300万円)をキム元代表が代わりに北朝鮮に支払うよう仕向けたとされるものだ。これに関連して検察は昨年6月、李大統領を特定犯罪加重処罰等に関する法律違反(賄賂)、外国為替取引法違反、南北交流協力法違反などの容疑で在宅起訴した。李大統領の共犯として起訴された李・元副知事は最近、別途に起訴された対北送金事件の裁判において懲役7年8カ月の刑が確定した。

 この日の裁判所の決定で、李大統領の五つの刑事裁判は全て手続きが停止した。李大統領は、この事件のほかにも▲偽証教唆事件控訴審▲公職選挙法違反事件破棄差し戻し審▲大庄洞背任および城南FC収賄事件一審▲京畿道公用カード流用事件一審の裁判を受けていた。

 偽証教唆事件は大統領選挙前に「追後指定」決定が下され、期日が決まっていない。残りの事件は、李大統領が当選した後に裁判が延期された。

 裁判所は、李大統領の公職選挙法破棄差し戻し審の裁判と大庄洞事件の裁判を延期するに当たって「韓国憲法84条」を根拠に挙げた。韓国憲法84条は「大統領は在職中に刑事上の訴追を受けない」という不訴追特権を定めている。ただし「訴追」の範囲が明確ではなく、論争になっていた。李大統領は大統領選挙の期間中、「既に進んでいる裁判も大統領の任期中は中断される」という立場を表明したことがある。逆に法曹界においては「既に進行中の裁判は大統領当選後も続く」という反論も強かった。

イ・ソンモク記者

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