保守系野党「国民の力」の党務監査委員会が25日、先の韓国大統領選挙の際に党指導部が候補交代を試みたのは違法だとする調査結果を発表した。党務監査委は、当時の非常対策委員長だった権寧世(クォン・ヨンセ)議員と事務総長兼選挙管理委員長だった李亮寿(イ・ヤンス)議員に対して「党員権停止3年」の重懲戒を下すべきだと、党倫理委員会に要請した。だが当時の指導部の関係者らは、党の公式機構の正式議決で進められたものだとして反発した。
柳一準(ユ・イルジュン)党務監査委員長は25日、ソウル市汝矣島の国民の力党舎でブリーフィングを開き「大統領選挙候補交代の試みは政治史において初めての事態で、党憲・党規にない違法な行為」だと述べた。金竜泰(キム・ヨンテ)前非常対策委員長の提案で先月11日に党務監査に着手してから、44日を経ての結論だ。
「候補交代問題」とは先の韓国大統領選挙当時、予備選を通して大統領選挙候補に選出された金文洙(キム・ムンス)元雇用労働相が一本化の約束を守らなかったとして、国民の力指導部が金・元長官の候補資格を剥奪し、韓悳洙(ハン・ドクス)前首相を候補に任命しようとした問題だ。党員投票によって僅差で交代案が否決されたため、金・元長官が候補として確定した。
当時、国民の力指導部は「相当な事由があるとき、大統領選挙候補選出関連事項を党選挙管理委が審議して指導部が議決し、定める」という党憲を根拠に、金文洙・元長官の大統領選挙候補資格を取り消した。だが党務監査委は、当該党憲条項について「候補交代ではない単純な選出手続きに関するものに限定されるべき」と解釈した。
党務監査委は「困難な時期に善意で行ったと信じているが、事態の重大性から見て懲戒するほかない」とし、権寧世・李亮寿の両議員に対する党員権停止3年の懲戒を要求した。党倫理委で確定すれば、両議員は次の総選挙で国民の力候補として出馬できない。ただし党務監査委は、当時の院内代表だった権性東(クォン・ソンドン)議員など他の指導部構成員については、「皆に責任がある」としつつも懲戒を求めなかった。柳委員長は「権性東議員が選管委員長や非常対策委員長ほどに責任を負うべき行為はしていない、と議論された」と伝えた。
このような決定が出るや、権寧世議員は同日、フェイスブックに「受け入れられない決定」だとして「こうした派閥的な決定を主導した人々こそ、必ず応分の責任を負うことになるだろう」と書き込んだ。権性東議員も「恣意的かつ偏向した決定」だとし、「(私も)お二人と共に懲戒に回付せよ。恣意的免罪符の裏に隠れるつもりはない」とコメントした。李亮寿議員は報道機関のインタビューで「(大統領選候補の交代は)議員らが同意して進め、非常対策委で議決したもの」だとし、倫理委の判断を見守りたいとの立場だ。
イ・ヘイン記者