韓国政府は11日、8月15日の光復節に合わせて大規模特別恩赦を断行すると発表した。李在明(イ・ジェミョン)大統領は曺国(チョ・グク)元祖国革新党代表、尹美香(ユン・ミヒャン)元議員ら与党系の主要な人物への恩赦と復権を行い、政治活動再開への道を開くことになる。
今回恩赦と復権の対象となる与野党の政治家や元官僚は27人で、その多くが文在寅(ムン・ジェイン)元大統領に近い親文系と呼ばれる人物だ。政界や法曹界からは「李在明大統領は大統領選挙の借金を返すため恩赦を活用した」などの指摘も相次いでいる。
李在明大統領は同日の国務会議(閣議に相当)で恩赦・復権の対象者83万6687人を正式決定した。政治家や元官僚27人、財界人16人、ストやデモ関連の労働組合員・露天商・農業関係者184人、運転免許行政制裁の減免対象者など82万3497人などだ。
息子娘の入試不正で懲役2年の実刑が確定し服役中の曺国元代表は刑期が1年以上残った状態で今回光復節に釈放される。曺国元代表の妻チョン・ギョンシム氏、曺国元代表の息子に虚偽のインターン確認書を交付した容疑で有罪となった崔康旭(チェ・ガンウク)元議員も恩赦の対象となり復権する。
正義記憶連帯への後援金を横領した容疑で国会議員職はく奪に相当する刑が確定した尹美香元議員、全国教職員労働組合所属の解任教師5人を不当採用した容疑で服役中のチョ・ヒヨン元ソウル市教育監も恩赦の対象に含まれた。尹健永(ユン・ゴンヨン)元議員、白元宇(ペク・ウォンウ)元議員、金恩京(キム・ウンギョン)元環境部(省に相当)長官ら親文系に加え殷秀美(ウン・スミ)元城南市長も恩赦の対象となり復権する。
野党系では個人的な不正行為で実刑が確定した洪文鐘(ホン・ムンジョン)元セヌリ党議員、鄭燦敏(チョン・チャンミン)元国民の力議員、沈学鳳(シム・ハクボン)元セヌリ党議員らの名前が上がっている。これについて政界からは「与党系の大量赦免とのバランス」との見方も語られている。財界からは崔信源(チェ・シンウォン)元SKネットワークス会長、崔志成(チェ・ジソン)元サムスン電子副会長らが、労働組合からは建設労組や貨物連帯の関係者がリストに上がった。一方で李在明大統領も関係する北朝鮮への不法送金事件当事者で懲役7年8カ月の判決を受けた李華永(イ・ファヨン)元京畿道副知事は対象にならなかった。
今回の曺国元代表の恩赦については世論調査で賛成と反対が拮抗(きっこう)している。世論調査に詳しい専門家は「今回の恩赦は与党の支持率に影響するのでは」と予想している。今回発表されたリアルメーターの世論調査では李在明大統領の支持率は就任後最低の56.5%、共に民主党の支持率は前週に比べて6.1ポイント低い48.4%だった。李在明大統領と共に民主党の支持率下落についてリアルメーターは株式譲渡税問題、共に民主党の李春錫(イ・チュンソク)議員による他人名義での株取引疑惑、曺国・尹美香特別恩赦問題などが原因とみている。
チュ・ヒヨン記者