韓国法務部(省に相当)では14日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領が収監されているソウル拘置所の所長を交代するという人事異動を突然発表した。これまで尹前大統領は特別検察官(特検)の調査を拒否する際、単独で弁護人に接見してきた。これに対して、与党から「他の収容者とは比べものにならないほどの特別待遇だ」という批判が出ていた。法務部ではこのような指摘に基づき、問責の意味でこのような人事異動をしたものとみられる。
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法務部は同日、「今日、ソウル拘置所長交代のための高位公務員(ナ級)2人に対する人事異動を18日付で行った」と発表した。キム・ヒョンウ・ソウル拘置所長を安養刑務所長に異動させ、新しいソウル拘置所長に金度亨(キム・ドヒョン)水原拘置所長を任命したものだ。
法務部は「今回の人事は、これまで尹前大統領の収容処遇などに関して提起されてきたさまざまな問題に対して、人的刷新が必要だという判断の下に断行されたものだ」「これを通じて、沈んでいる組織のムードを切り替え、本来の業務をより一層、忠実に行えると期待する」と述べた。
尹前大統領は先月10日、内乱特検が請求した拘束令状を裁判所が発行して以降、ソウル拘置所内の独房に収監されている。拘置所側は、前大統領であることを考慮して運動・入浴を他の収容者と別にさせ、別の空間で弁護人に接見することを許容してきた。
こうした中、尹前大統領が金建希(キム・ゴンヒ)特検の逮捕状執行に応じなかったため、拘置所側が特別待遇をしているのではないかという批判が相次いだ。特検は今月1日と8日の2回にわたり尹前大統領に対する強制勾引に失敗したことから、「収容者の身柄を管理する矯正当局が特検の強制引致指揮に協力しない」と批判していた。
尹前大統領はまた、今年1月に姜義求(カン・ウィグ)前大統領秘書室付属室長と接見する際、前室長から携帯電話を借りて使っていたという疑惑が浮上し、法務部が真相を調査中だという。
与党・共に民主党の3大特検総合対応特別委員会は今月1日、「尹錫悦が全拘束期間中に弁護人などに接見した時間は計395時間18分で、接見人員は348人に達する。395時間は日数で言えば16日を超える」「拘置所内で長時間の接見を通じて安らかな収容生活を享受するなど、さまざまな特別待遇があったことを確認した」と明らかにした。これに対して、法務部は同日から尹前大統領側に単独弁護人接見室提供中止を通知した。
一方、失明の恐れにより外部病院で2回診察を受けた尹前大統領は、診察を受ける間、手錠と電子足輪をはめられていたことが確認された。矯正当局の関係者は「特別待遇問題を事前に遮断するため、他の収容者と同様の措置を取った」と語った。
キム・ナヨン記者