光州広域市は14日「光州市内の公共図書館にある歴史わい曲図書7種を廃棄する」と発表した。光州広域市が今回廃棄を明らかにしたのは7種27冊だ。
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2020年に出版された「お母さんが聞かせる李承晩(イ・スンマン)建国大統領のお話」は1948年の「麗水・順天事件」における韓国軍による鎮圧を「がん患者治療に比喩した」との理由で問題になっていた。同書は麗水・順天事件について「多くの市民の犠牲が出たとしても、反乱勢力を鎮圧していなければ大韓民国は生存できなかった。がん患者治療のため正常な細胞も死に、患者が苦しむことがわかっていても、放射線治療をするしかないのと同じ理由」と記載されている。光州広域市の関係者は「麗水・順天事件を反乱とみなし、事実をわい曲した」と指摘した。
「おじいちゃんが聞かせる6・25戦争の話」は7月10日に国会教育委員会のリバクスクール事件聴聞会で問題となった書籍との理由で廃棄対象となった。聴聞会で与党・共に民主党の鄭乙浩(チョン・ウルホ)議員は同書について「虚偽まみれの歴史わい曲書籍」と指摘した。リバクスクール事件とは歴史教育団体のリバクスクールが前回の大統領選挙の際、インターネットを通じた世論形成を目的にコメントチームを立ち上げたとする疑惑だ。この疑惑を受けリバクスクールに対し「わい曲された歴史観が記載された書籍を使って教育している」との批判が相次いだ。リバクスクールとは「李承晩、朴正煕(パク・チョンヒ)スクール」の略語だ。今回廃棄される書籍の中には李栄薫(イ・ヨンフン)元ソウル大学教授の著書「反日種族主義」「反日種族主義との闘争」などいわゆる「ニューライト歴史観」の書籍も含まれている。
上記の光州広域市関係者は「まずは利用者が書籍を借りられないよう図書の検索でヒットしないよう対応した」「図書館運営委員会などを経て廃棄する計画」と明らかにした。
リバクスクール事件を受け光州広域市は歴史わい曲問題の原因となった書籍の存在を確認するため、今月11-13日に市内に375カ所ある公共図書館所蔵書籍の全数調査を行った。光州広域市の姜琪正(カン・ギジョン)市長は「未来の世代に正しい民主主義の価値観を形成させ、虚偽やわい曲のない図書を提供するため全面的な点検が必要だ」との考えを示していた。
光州市教育庁も前日、光州市内に15ある学校図書館で7種の書籍の閲覧を制限した。光州広域市が今回指定したものと同じ書籍だ。光州広域市のイ・ジョンソン教育監は11日「歴史わい曲図書が学校に置かれていたことを深く謝罪する」とした上で「今回の事案を非常に深刻に受け止め、光復80周年を迎える今年を歴史わい曲剔抉(てっけつ)元年とし、正しい歴史観確立と歴史を正す教育をさらに強化したい」との考えを示した。
光州広域市は同日「今後の再発防止のため歴史の専門家を含む図書館資料選定委員会を立ち上げ、書籍購入手続きの専門性と信頼性を強化する」との方針を示した。これに対して成均館大学社会学科の具廷禹(ク・ジョンウ)教授は「図書の内容に関係なく、地方自治体が任意に公共図書館の書籍を廃棄するのは問題」とした上で「司法の判断が出たわけでもなく、思想と表現の自由を過度に制限している」と批判した。
光州広域市=チン・チャンイル記者、キム・ヨンウ記者