韓国与党・共に民主党は放送通信委員会を解散し、新たな組織を立ち上げる法律の制定を進めている。今月14日に放送通信委員会改編などを進める「言論改革特別委員会」を発足させ、19日にはその改編をテーマとするセミナーを開催するという。共に民主党所属議員14人は先月、放送通信委員会に代わる「視聴覚メディア通信委員会」を新たに設立する法案を提出した。この法案が成立し放送通信委員会が解散すれば、前政権が任命した李真淑(イ・ジンスク)放送通信委員長は自動的に失職する。
【写真】言論改革特別委員会の第1回会議に出席して委員らと記念撮影する共に民主党の鄭清来代表
共に民主党が発足準備を進める新たな組織は、放送通信委員会と違った点はほぼない。追加された点は、科学技術情報通信部(省に相当)が担当していた放送の一部業務を統合し、放送審議委員長を人事聴聞や弾劾の対象として明記した程度で、要するに放送通信委員会の看板を掛け替えただけだ。共に民主党言論特別委員会の副委員長は「現在、李真淑委員長が法的に問題になっているため、私たちが(放送通信委員会の)正常化に向け(新たな組織の)法案を提出した」と述べた。李真淑委員長の任期は2027年7月までだが、辞任を拒否した場合に強制的に罷免する方法はない。そこで、李真淑委員長1人を追放するために放送通信委員会を解散する法律の制定を目指しているのだ。
共に民主党は昨年、李真淑委員長の就任翌日に弾劾訴追案を提出した。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権での放送通信委員長に対する4回目の弾劾だった。憲法上、弾劾訴追は職務執行中に憲法や法律の重大な違反があった場合にのみ行うものだが、共に民主党は李真淑委員長について「就任1日で罷免すべきほど重大な違反を犯した」と主張した。しかしその本当の狙いは共に民主党を支持するMBC放送役員らの交代を阻止するために、李真淑委員長を職務停止に追い込むことだった。政権を握った今は「任期を全うするのは難しいだろう」「近く起訴されると思う」などとして李真淑委員長の辞任を強く要求し続けている。李真淑委員長の夏の休暇申請も水害を理由に受け入れなかった。
共に民主党は今月初めにKBS放送を「永久に共に民主党のための放送」とする放送法改正案を成立させ、民間放送のYTNや聯合ニュースTVの社長まで強制交代できるとしたが、これは明らかに憲法違反だ。さらに21日以降の国会本会議ではMBCとEBS関連の法律も成立するだろう。メディア掌握に向けて、軍事作戦を思わせるロードマップが実行に移されているのだ。
これまで韓国では、政権が変わると前政権の関係者追放のために検察や警察の捜査まで動員されてきた。しかし特定の人物を辞任させる狙いで何の問題もない国家f機関を解散する法律まで制定するのは文字通り空前絶後であり、まさに驚くべき発想だ。