「李在明は歴史の流れを変えられる偉人ではない」「米国の特等忠犬」 金与正氏の名指し批判に韓国大統領府「遺憾」

「節々にばかげた夢物語」

「李在明は歴史の流れを変えられる偉人ではない」「米国の特等忠犬」 金与正氏の名指し批判に韓国大統領府「遺憾」

 北朝鮮・朝鮮労働党の金与正(キム・ヨジョン)副部長が「李在明(イ・ジェミョン)は歴史の流れを変えられる偉人ではない」「韓国の(大統領が)誰であっても米国の特等忠犬」と発言した。朝鮮中央通信は20日、金与正副部長が前日に「外務省主要局長協議会」を開き、国家首班の対外政策構想について説明した席でこのように述べたと伝えた。国家首班とは金正恩(キム・ジョンウン)総書記のことだ。

 韓国で新政権発足後、金与正副部長が李在明大統領を名指しで非難するのは今回が初めて。南北関係を「敵対的2国間関係」とする金正恩総書記の方針に変わりがないことを改めて表明すると同時に、25日に予定されている韓米首脳会談を前に韓米両国の同盟強化をけん制する狙いもありそうだ。

 これに対して韓国大統領府は「李在明政権による韓半島平和に向けた数々の事前措置は、一方の利益や誰かを意識したものではなく、南北双方の安定と反映を目指すものだ」「北朝鮮当局者がわが国の真の努力を歪曲(わいきょく)して表現するのは遺憾」と反論した。韓国大統領府は当初「敵対と対決の時代を過去のものとし、韓半島平和共存と共同成長の新たな時代を必ず切り開きたい」とコメントしたが、それから1時間ほど過ぎて「遺憾」の言葉を追加した。

 李在明大統領は南北関係について「忍耐を持ち順序立てて解決しなければならない」との考えを15日の光復節式辞で示し、また18日の国務会議(閣議に相当)では「小さな実践が小石のように積み上がれば、相互の信頼は回復するだろう」と発言していた。しかし金与正副部長は李在明大統領に対し「『小石』『信頼』『忍耐』などとさすらい詩人のような言葉ばかり並べ立てている」と批判し「ソウルではどの政権も例外なく(中略)勝手に『希望』や『構想』を口にすることが風土病のようだ」と批判した。またこれらの構想について「どの節々も言葉も妄想でありばかげた夢物語だ」「保守の看板をかけても、また民主の冠をかぶっても韓国の対決野望は全く変わらない」と指摘した。

 李在明大統領は韓米合同軍事演習について「防衛に向けた訓練」と語ったが、これについても金与正副部長は「前任者の口癖をそのまま記憶している」として「韓国の誰であっても米国の特等忠犬だ」「(韓米が)『核・ミサイル能力の早期除去』と共和国領内への攻撃を拡大する『作戦計画5022』を検討中である事実に注目すべきだ」と指摘した。韓米両国が昨年取りまとめた作戦計画5022には北朝鮮の核指揮システムかく乱、要人除去、サイバー戦などにより北朝鮮が核攻撃を行う可能性を事前に排除することが盛り込まれている。

 金与正副部長の一連の発言について慶南大学極東問題研究所の金東葉(キム・ドンヨプ)教授は「韓国に対して(対話の)ハードルを上げたというよりも、むしろドアを閉じて鍵をかけたようなもの」との見方を示した。また韓国統一研究院の洪珉(ホン・ミン)先任研究委員は「韓国が南北関係改善をテーマに韓米や2国間対話、多国間の会合、国際社会などで注目されないよう事前に遮断するためではないか」とコメントした。

キム・ミンソ記者

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