在韓米軍基地の所有権を要求したトランプ大統領…世界的にも前例なし 韓米首脳会談

現在米軍に無償で供与
安圭佰・国防部長官も「不可能」と明言
専門家「SOFA改正が必要」

 SOFAの第2条には在韓米軍への土地の提供は韓米相互防衛条約第4条に基づく「供与」と明記されている。韓米相互防衛条約第4条には「相互の合意で決められた内容に基づきアメリカ合衆国の陸軍、海軍、空軍を大韓民国の領土内とその周辺に配置する権利について大韓民国はこれを許与しアメリカ合衆国はこれを受諾する」と記載されている。

 現行のSOFA体制では在韓米軍は敷地を無償で使用できるが、「今後必要がなくなれば大韓民国に返還しなければならない(SOFA第2条)」とも記載されている。基地の敷地に対して米軍は所有権がないことを明確にしたものだ。SOFA改正には国会での批准も必要で、実現は難しそうだ。

 また米国が海外基地の敷地を実際に所有する事例はほぼない。米国は2024年時点で51カ国で128カ所の基地を使用しているが、それらの敷地の所有権はその国が持つのが原則だ。日本、ドイツ、イタリアなどの米軍基地も使用権は米国にあるが、所有権はその国にある。海外の基地について米国防総省も「土地に対する権利はホスト国が持ち続ける」としている。

 実現の可能性が低く、しかも米軍の立場とも異なるトランプ大統領の今回の発言については「韓国の防衛費分担金増額などを狙った交渉用のジャブ」との見方もある。韓米防衛費分担金(SMA)交渉を担当したある人物は「SMA協定の際に韓国は基地の使用料を受け取らないことで交渉を進展させた」「現行のSMAを破棄するため所有権問題に言及した可能性もある」との見方を示した。今回のトランプ大統領の発言はグリーンランドの所有権を主張し、カナダを51番目の州として併合したいとする独自の膨張主義が表面化したとの解釈もある。

 韓国大統領府の魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安全保障室長は同日、首脳会談の結果を説明する会見で「発言の背景をしっかりと把握する必要性を感じている」とした上で「在韓米軍の敷地はこちらが供与するもので、与えるとか地代を受け取るとかの概念ではない」と説明した。

ヤン・ジホ記者

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  • ▲世界の米陸軍基地で最大規模とされる京畿道平沢市のキャンプ・ハンフリース。26日撮影。/聯合ニュース

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