92歳という年齢にもかかわらず20代レベルの筋肉を持つイタリアの「おばあちゃんスプリンター」が話題になっている。この女性は衰え知らずの情熱でマスターズ陸上に出場し、高齢者部門の短距離世界記録も保有している。
米紙ワシントン・ポスト(WP)は8月24日(現地時間)、イタリア・パドバに住むエマ・マリア・マツェンガさん(92)の人生と健康の秘密を紹介した。マツェンガさんは、90歳以上の女子短距離100メートル・200メートル種目で世界記録を4つも保有している実力者だ。昨年5月には200メートルの屋外レースで51秒47をマークして世界記録を更新し、その1カ月後には50秒33で自身の記録を1秒以上更新した。風のない室内の200メートルレースでも世界新記録(54秒47)を打ち立てた。
このようなマツェンガさんには、ライバルがいない。毎日自分との戦いを続けている。世界新記録を連続で樹立したときも、一人で走った。マツェンガさんのように最後まで全力でレースを駆け抜けられる90代の高齢者が他にいないからだ。WP紙は「イタリアと米国の科学者たちは現在、マツェンガさんの筋肉、神経、ミトコンドリア(エネルギーを生み出す細胞内の器官)を研究している」として「特定の基準で見たとき、マツェンガさんは50代の心肺機能を有し、筋肉のミトコンドリア機能も健康な20代と同レベルだ」と説明した。
高校の科学教諭だったマツェンガさんは、自分の特別な健康の秘密を解明しようという研究チームを快く助けた。研究チームは針を用いてマツェンガさんの大腿四頭筋から筋肉サンプルを採取し、検査を行った。その結果、スピードに関係する速筋線維は健康な70代の高齢者と同程度だったが、持久力に関連する遅筋線維は20代のように見えた。筋肉へとつながる血流や神経経路も同じように若かった。
1933年8月生まれのマツェンガさんは、19歳のとき、生命科学を専攻していたパドバ大学で陸上を始めた。1957年に大学を卒業した後も4年ほどレースに出場していたが、その後は病気の母親の看病もあって陸上から離れた。結婚して2児の母になると、陸上は過去のものとなり、学校の先生としての人生を歩んだ。そんなマツェンガさんが再び走り始めたのは53歳のときだった。
世界記録保持者となり、さまざまなメディアにも取り上げられたが、挑戦をやめるつもりはない。マツェンガさんは今でも自宅近くの川辺を走ってトレーニングを続けている。陸上の練習をするのは1週間に2-3回、それぞれ1時間ほどで、練習をしない日は散策を楽しむ。マツェンガさんは「一日中室内で過ごすという日はない」と話した。
マツェンガさんは、他の高齢アスリートたちに「自分の限界を知ることが重要だ」と強調した。その上で「まずは医師に相談して、ランニングやスポーツを始めても大丈夫なのかを確認し、それから継続的に運動をすべき」と助言した。マツェンガさんは今年9月、イタリアのカターニアで開催される100メートルと200メートルの短距離レースに出場する予定だ。
ムン・ジヨン記者