尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の妻である金建希(キム・ゴンヒ)氏を巡る疑惑を捜査している特別検察官(特検)チームがソウル拘置所に収監中の尹・前大統領に対し勾引を試みた、8月1日の事件。当時の様子を収めたボディーカメラ(警官などが体に装着して常時撮影を行う小型カメラ)の映像の一部が流出し、物議を醸している。この動画は、今月1日に国会法制司法委員会所属の議員たちがソウル拘置所で動画記録を閲覧した過程で外部に漏れたものとみられる。
【写真】ソウル拘置所で尹前大統領の強制勾引映像を閲覧した議員たち
政界・法曹界の関係者によると、1日にソーシャルメディアなどで拡散した尹・前大統領の動画は長さ17秒のものだった。特検チームが8月1日に1次逮捕状執行を試みた際のボディーカメラ映像が再生されているモニター画面を、スマートフォンで撮ったものと推定される。モニター内の動画には、文鴻周(ムン・ホンジュ)特検補など特検関係者らの姿が見え、茶色の収容者服姿で独房内のベッドに座っている尹・前大統領の姿も捉えられていた。当時、尹・前大統領は下着姿で事情聴取を拒否したといわれていたが、この動画は収容者服を脱ぐ前のものとみられる。
問題は、収容者に対する撮影や動画流出は韓国の現行法上、個人情報保護法などに違反する恐れがあるということだ。1日にソウル拘置所で行われた現場検証には、秋美愛(チュ・ミエ)法制司法委員長と進歩(革新)系与党「共に民主党」および進歩系野党「祖国革新党」所属の法制司法委員など国会議員9人が参加していたことが分かった。保守系野党「国民の力」の議員は参加していないという。与党側の議員らは「尹・前大統領の収監中に特別待遇を提供したかどうか、特検出頭要求当時の映像記録を通して捜査妨害の状況などを確認すべき」として現場検証を実施し、当初は非公開を原則にする、としていた。
現場検証を終えた金容民(キム・ヨンミン)民主党議員は「1次執行のとき、尹錫悦は下着姿で横たわって『私に強制力は行使できない』と反発し、『体に触るな』と言うなど、ぞんざいな言葉を主に使って執行を拒否した」「(8月7日の)2次執行のときもやはり、執行を試みようとした際、既に下着姿で席に座り、聖書とみられる書籍を読みつつ執行を拒否した。尹錫悦が足を曲げて座っていたその椅子を外に引き寄せる物理力を行使しただけであって、強制的に運び出したり引っ張り出したりはしなかった」と発言した。
動画流出を巡り、尹・前大統領の法律代理人団は「収容者の動画流出事件は、被告人の人権はもちろん肖像権などの保護のために、撮影および流出の経緯について徹底した調査が必要」として「法的対応を検討している」とコメントした。
キム・ナヨン記者