韓国産業通商資源部が1日に発表した8月の輸出実績は、米トランプ政権による相互関税の破壊力を如実に示している。
韓国の主な対米輸出品目15品目のうち11品目(増減率は1~25日を基準)が前年同期比で減少傾向を示した。増減を分けたのは関税だった。増加を記録した品目は半導体(56.8%増、8億1000万ドル)、石油製品(15.4%増、3億9000万ドル)、無線通信機器(34.2%増、9億4000万ドル)など関税が免除される品目が中心だった。米政府は半導体、スマートフォンには別途品目別の関税を課すという理由で、石油製品などエネルギー商品は国家安全保障と直結するという理由でいずれも関税を課していない。
■対米輸出、関税対象品目中心に急減
一方、最大の対米輸出品目である自動車は関税の直撃を受け、前年同期比で3.5%(15億7900万ドル)減、自動車部品は14.7%(4億4300万ドル)減、鉄鋼に至っては32.9%(1億5000万ドル)減を記録し、年初来で最も低調だった。鉄鋼は3月に最初に品目別関税を課された後も減少幅が20%を超えることはなかったが、関税が50%に急上昇した6月(25.9%減)からは輸出を断念する企業が急増しているとみられる。鉄鋼が含まれている関係で関税を課される一般機械(12.8%減)、家電(26.8減)なども減少幅も大きかった。韓米自由貿易協定(FTA)によるゼロ関税効果が消え、高率の関税を課せられた波紋が関連産業全体に広がっている。
韓国の8月の対米輸出額は前年同月比12%減の87億4000万ドルで、2023年1月(80億590万ドル)以来2年7カ月ぶりの少なさだった。減少幅もコロナ以降の5年余りで最大だった。韓国産業通商資源部は「8月も関税例外品目である半導体、石油製品、無線通信機器などは対米輸出が15%ほど増加した。関税適用に伴う影響が時差を置いて表れ始めたとみられる」と指摘した。
韓国政府は7月30日、相互関税を当初予告されていた25%から15%に引き下げ、自動車・自動車部品関税も現行の25%から15%に引き下げることで米国側と合意した。これにより、輸出品の大半に課される相互関税は8月7日から従来の10%から15%に引き上げられたが、自動車・自動車部品関税(25%)は依然引き下げられていない。鉄鋼・アルミニウム関税は交渉から除外された。
■米中向け輸出減をASEANが補った
地域別に見ると、輸出額5位以内のうち、東南アジア諸国連合(ASEAN)向けは唯一輸出が増えた。ASEAN向け輸出は11.9%増の108億9000万ドルで、最大の輸出先である中国(2.9%減、110億1000万ドル)とほぼ並んだ。台湾を中心に半導体輸出(47%増、27億ドル)が大幅に増加した。欧州連合(EU)向けはエコカーを中心に自動車(78.1%増、5億1000万ドル)の輸出が大幅に改善した。ただ、一般機械などは輸出が減少。輸出額全体でも(9.2%減、58億1000万ドル)だった。
品目別では輸出1位品目である半導体が米中対立の中でも人工知能(AI)特需を追い風として、過去最高の実績を残し、自動車もEUなど米国に代わる市場を確保したことで、8月に過去最高を更新した。しかし、AI特需による半導体需要増大および単価上昇で韓国の輸出実績に「錯覚」が生じるとの指摘も一部から出ている。
韓国貿易協会のチャン・サンシク国際貿易通商研究院長は「半導体を除く輸出額は前年同期比4.5%減少したと推定される。今年下半期に半導体、スマートフォンに対する関税適用が予告されているほか、鉄鋼関税が家電・一般機械など派生商品に広く影響を及ぼしており、下半期には企業への打撃が懸念される」と話した。
韓国中堅企業連合会によると、中堅企業の61.5%が今年下半期の輸出実績は前年同期比で減少すると予想した。減少を予想した企業の割合は上半期の38.7%に比べ大幅に増えた。中堅企業が下半期の輸出減少を予想する最大の要因は「世界的な景気後退」(67.5%)と「関税負担増加」(53.7%)だった。調査は7月29日から8月12日までの半月、電子部品、自動車など主要輸出業種の中堅企業200社を対象に行われた。
チェ・ウンギョン記者