韓国の趙顕(チョ・ヒョン)外相が10日、米国のマルコ・ルビオ国務長官と会談し、ジョージア州の現代自動車・LGエナジーソリューションの工場で拘束された韓国人およそ300人に対する「不利益のない釈放」を要求する中、ガーディアン紙が移民・関税執行局(ICE)の内部文書を入手して「少なくとも1人の韓国人労働者が、米国で合法的に居住して働いていて違反事項がなかったにもかかわらず、当人が米国から追放されることに同意するよう当局が強制した」と報じた。実際に取り締まりに遭った韓国人の中には、駐在員ビザ(L1)のように米国の法人や生産現場で働く上で全く問題がない人物も多数いたことが分かっている。
【写真】アトランタ国際空港で韓国人社員300人を待つチャーター機
ガーディアン紙は10日、「米移民当局は、工場での取り締まり時に逮捕されて追放手続きのためにICEの処理(Processing)センターに移送された人の中に、有効なビザを所持した人が含まれている事実を知っていた」として、このように報じた。これは、拘束された人々は米国の連邦法に違反したから追放されるべきであって一部は法的な責任を負うべき、とする国土安全保障省などの説明とはいささか異なる部分だ。ガーディアン紙が報じた文書によると、アトランタの移民当局のエージェントたちは「SFA」という韓国企業に所属する男性が今年6月、短期商用ビザ(B1)で米国に入国し、現代自動車の工場に勤めていると判断した。さらに「ビザの要件に違反したことはないが、アトランタ移民局の事務所長は『自発的な出国』の対象者に指定するよう指示した」という。
ジョージア州をベースに移民弁護士として活動しているチャールズ・クック氏は、ガーディアン紙に「有効なビザの所持者をこのように拘束するのは違法」だとし「とんでもないことで、違法な拘束に該当する」と語った。韓国外交部(省に相当)や現場対策班長を務める曺基中(チョ・ギジュン)駐ワシントン韓国総領事などは、拘束された人々の中に合法的なビザ所持者がいるかというメディアの問い合わせに対して「拘束された人々のビザのタイプについて確認を与えることはできない」とした。韓国政府は、チャーター機で自主出国したとしても法律上の不利益はないという立場だ。だが、今後再入国する際に「自発的に出国した」という記録を明らかにするよう要求されかねず、これは不法滞在の事実を自ら認めたものと見なされる余地があり、領事によってはこれが問題になる可能性が高い。米国はビザ申請の過程で外国人が偽証をした場合、これを加重処罰している。
ワシントン=金隠仲(キム・ウンジュン)特派員