「400ウォン(約42円)相当のチョコパイと650ウォン相当のカスタード菓子を食べただけなのに」――。
全羅北道完州郡にある物流会社の冷蔵庫にあったチョコパイ1個とカスタード菓子を食べた下請け会社社員A氏が窃盗罪で起訴され、裁判が進んでいる。18日に行われた控訴審の初公判では担当裁判長も「そこまでしなければならないのか」と呆れ顔だ。
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当初検察は軽微な事件なのでA氏を略式起訴したが、A氏が無罪を主張して正式な裁判を請求した。
一審は罰金5万ウォンを言い渡した。A氏は「普段事務室を出入りする配送運転手から『冷蔵庫のおやつを食べてもよい』と聞いた」として、窃盗の故意はなかったと主張したが、一審はA氏の主張を退けた。
一審は「冷蔵庫があった場所は配送運転手の出入りが許されない事務空間だ」と指摘。「被告の陳述通りに運転手らからそういう話を聞いたとしても、運転手に冷蔵庫の中の品物に対する処分権限がないことを十分に知り得たはずだ」と判断した。
控訴審初公判でA氏の弁護人は「事件が発生した場所は誰でも出入りできる事務室だ。事務室の防犯カメラを見ても、被告はためらわずに事務室に入っている」と主張。飲み物や菓子は公開された場所にある物なのに、わざわざ許可を得て食べろというのか」「本当に菓子を盗もうとしたのなら、(箱を)丸ごと持っていくはずで、チョコパイ1個、カスタード菓子1個だけ持っていくはずはない」とした。
A氏の弁護人は「お腹が空いたら菓子を食べてよいと言っておきながら、窃盗の故意が成立するというのは理解できない」とも指摘した。
裁判長は「被告人の行為に悪意はないが、法理的に窃盗罪が成立するかどうか検討し直す」と説明した。次回公判は10月30日に開かれる。
全州=キム・ジョンヨプ記者