「妊婦がタイレノールを服用すると子供の自閉症リスク高」 トランプ大統領の主張に研究者ら「科学的根拠ない」

 国際科学雑誌ネイチャーもトランプ大統領の主張に反対する研究結果を集めて紹介した。スウェーデンの研究チームは1995-2019年に生まれた250万人の児童を対象に妊娠中のタイレノール成分処方の影響を分析した。それによると妊婦がタイレノールを服用し子供が自閉症の診断を受けた割合は1.42%で、そうでない場合は1.33%と有意な差は認められなかった。また兄弟での比較では薬の服用が自閉症に及ぼす影響はほぼ見られなかったため、遺伝的な要因の方が大きいと考えられる。日本の国立研究機関が20万人の児童を対象に調べた研究でも同じ結果だった。

 FDAは「ここ数年、妊婦のアセトアミノフェン服用と子供の自閉症発症率増加に関連があることを示す証拠が報告された」とする一方で「ただし現時点で因果関係は立証されておらず、研究は今も進行中」とコメントした。

■韓国の医学界「妊婦が不安を抱くことを懸念」

 自閉症スペクトラムの遺伝的要因を研究している高麗大学バイオシステム科学部のアン・ジュンヨン教授は自らのSNS(交流サイト)に「トランプ政権の関係者がタイレノールと自閉症を関連付けているが、これは科学的方法論を無視し一般大衆の不安をあおる行為だ」と批判した。漆谷慶北大学病院産婦人科のソン・ウォンジュン教授は「妊娠初期の高熱は奇形児の原因になるが、熱を下げるにはタイレノール以外に方法がない」「別系列の解熱鎮痛剤は胎児に心臓疾患などを起こす恐れがあるためもっと危険だ」と説明した。小児自閉症患者の治療を主に担当する盆唐ソウル大学病院小児精神科のユ・ヒジョン教授も「トランプ大統領の発言は小児自閉症に苦しむ親たちに不必要な罪悪感を持たせてしまう」と指摘した。

 韓国食品医薬品安全処は23日「今後関連業界にこの問題に対する意見や資料の提出を要請し、それらを慎重に検討していきたい」とコメントした。

宋恵真(ソン・ヘジン)記者、オ・ギョンムク記者

【表】妊娠中のタイレノール使用と子どもの自閉症との関係

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