韓米関税交渉では米国の素顔も露呈したが、韓国の貧弱な能力も浮き彫りとなった。為替面・金融面での競争力の弱さ、過度に米国に依存する輸出構造など、日本とは比較できない韓国経済の基盤の弱さが明らかになったのだ。3500億ドルという要求のうち、韓国が現金を拠出できるのは200億ドル未満とみられる。当初韓国政府が考えた現金割合5%がちょうどその水準だ。韓米間の無制限通貨スワップが結ばれれば、その余裕は幾分増えるだろうが、日本が持ちこたえられる水準とは次元が異なる。
「我々が知っていた米国」という無駄な期待はさておき、断固たる決意と戦略で交渉に臨まなければならない。「自分が強くならなければ、どんな同盟も我々を守ってくれない」という冷徹な自覚が決意を支えなければならない。米国を変える力がないならば、根本的に変わらなければならないのは韓国の方だ。日本が持ちこたえたのなら、韓国は変わらなければならない。しかし、権力を握った側は、産業と金融の実力を育んで地力を養うのではなく、権力の私有化、世論を意識したポピュリズム政策に埋没している。企業を締めつける反市場的な立法、財政健全性を害するばらまき支出、産業競争力強化よりも分配を優先するスローガンにこだわっている。米国の圧迫に「驚いた」と言いながら、「屈辱は交渉団が味わえばよい」という具合に権力争いにだけ没頭するのは無策、無責任だ。このまま進めば、今の我々が最も豊かで、後は没落の一途をたどるかもしれない。
李吉星(イ・ギルソン)記者