日帝強占期には、日本にはおよそ200万人の在日コリアンが住んでいた。ほとんどは解放後に韓国に戻ったが、やむを得ず日本に残った60万人は、日本で差別待遇を受けながら生活苦にあえいでいた。北朝鮮はそんな在日コリアンに対し、無償教育と無償医療を保障すると宣伝し、北朝鮮への帰還事業を進めた。北朝鮮の宣伝にだまされて、およそ9万人の在日コリアンが北朝鮮に渡った。高容姫氏の家族もこの中に含まれていた。
この日の放送では金正恩総書記の母方の祖母、李孟仁氏の写真が初めて公開された。写真を見た出演者たちは、金正恩総書記にそっくりなその姿に驚きを隠せなかった。
慈江道出身の脱北者、チョン・ユナさんは「韓国では、うり二つのことを『ふな焼き(プンオパン。韓国式たい焼き)』と言うが、北朝鮮ではその言葉の代わりに『おばあちゃんを食べて吐き出した』と言う。あまりにもそっくり」と話した。
五味氏は「李孟仁氏は非常に豪快な性格だったと聞いている。だからこそ、行ったこともない北朝鮮に、夫と共に渡ったのではないか。北朝鮮で新たにやり直すという気持ちで一緒に行ったのだろう」と話した。
朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)出身の在日コリアン活動家、朴香樹(パク・ヒャンス)さんは「在日コリアン1世のおばあさんたちは生活に苦労したので気が強いが、同じ感じがする。金正恩総書記の容姿と気質は、どちらも母方の祖母に似たようだ」と話した。
金正恩総書記は、妻の李雪主(リ・ソルジュ)氏や娘のキム・ジュエ氏など女性を表舞台に立たせる北朝鮮では異例の政治スタイルを取っている。これには、女性関係が派手だった父の金正日総書記への恨みと、隠れて生きてきた母の高容姫氏への償いの気持ちが投影されているというのが五味氏の分析だ。
リュ・ヒョンウ氏は「北朝鮮で体制変化をもたらす革命が起きるためには、住民たちが、偶像崇拝する金氏一家の根幹が虚像だということに気づかなければならない」として「高容姫氏の人生を通じて、白頭血統の真実を北朝鮮の住民たちに伝えなければならない」と述べた。
キム・ジャア記者