■大型空母が備えるべき最低要件満たさず
スキージャンプと呼ばれるこの方式の最大の問題点は、艦載機の離陸重量が大幅に低下する点だ。発進時に搭載できる燃料と装備を減らすしかない。重量が大きい早期警戒機などは空母への搭載が不可能だ。
米軍の空母はその問題を解決するため、高圧の蒸気や電磁気を利用し、艦載機を瞬時に時速250キロ以上に加速するカタパルトを使用する。スリングショット(パチンコ)を撃つように重い機体を空中に打ち上げるのだ。米国はほとんどの空母が蒸気式カタパルトを使うが、最新空母のジェラルド・R・フォードと試験航行中のジョン・F・ケネディは電磁式カタパルトを採用している。蒸気式カタパルトを使う空母レーガンの艦載機最大離陸重量は45トンで、山東の最大離陸重量28トンの2倍に達する。それだけ多くの燃料と装備を搭載することができる。
2022年に進水した中国3番目の空母福建は、米空母フォードのように電磁式カタパルトを搭載し、米国を緊張させた。米国では「米海軍がこれからまともな敵と出会うことになる」とまで言われた。
空母の戦闘力を測定する重要な基準の一つに出撃回数を意味する「ソーティー(Sortie)」がある。艦載機1機が燃料と装備を搭載して発艦し、任務を遂行して帰還することをソーティー1回と数える。それが限られる多ければ多いほど、空母戦団の戦闘能力が向上する。蒸気式カタパルトを使用する米ニミッツ級空母は1日の標準ソーティーが120回だ。電磁式カタパルトを運用する空母フォードはそれを同160回まで引き上げた。非常時には240回も可能だという。大幅な引き上げには、空母の甲板を拡大し、艦載機の同時発着艦ができるようにすることが必要だ。
■原子力空母就役までの過渡期
福建は排水量が6万トン前後の遼寧、山東と異なり、最大排水量が8万トンを超える。長さ320メートル、幅76メートルで、米国のニミッツ級空母(排水量10万トン)に迫る。米国並みに空母戦闘力を引き上げるため、排水量を大幅に増やし、電磁式カタパルトも採用した。しかし、甲板設計の問題で同時発着艦が不可能になれば、目標達成は容易ではない。
海事先鋒は問題が生じた理由として、当初福建が蒸気式カタパルトを装着する方向で設計された点を挙げた。電磁式に変更する過程で十分な設計上の考慮がなされなかったことになる。蒸気式は滑走路の長さが70メートル程度だが、電磁式では100メートル以上になる。滑走路が長くなったことで、着陸滑走路との重複が生じた。
中国国内では、原子力推進方式を採用する4番目の空母が登場するまで、福建が空母の過渡期を担うにとどまると予想されている。米国の原子力空母とは異なり、ディーゼルエンジンを使用して作戦範囲が限られる状況で、甲板の設計に問題があるため、米空母に対抗し得るレベルではないとされた。中国の軍事評論メディア「雲霄武堂」は「福建の設計陣が離着陸問題を犠牲にし、電磁式カタパルトを採用することで、(早期警戒機など)重い高性能機体の出動能力を確保するという戦略的選択をしたのではないか」とし、「原子力空母が登場すれば、米ニミッツ級空母レベルのカタパルトと同時発着艦環境が整う」と予想した。
崔有植(チェ・ユシク)記者