文政権時代に統計データ改ざん 1年7カ月前に起訴されるもまだ一審の被告人たち、懲戒処分なしで地方機関トップに

監査院に摘発された政府関係者の多くが今も政府機関に在職

政権交代により再審は何度も先送りに

 「文在寅(ムン・ジェイン)政権による統計改ざん疑惑」をめぐり監査院は今年4月、国土交通部(省に相当)に職員15人の懲戒を要求したが、それから6カ月が過ぎた今になっても処分は行われていないことが10日までに分かった。野党・国民の力の金恩慧(キム・ウンヘ)議員の事務所によると、15人のうち2人は解任、1人は停職、7人は軽い懲戒、5人は「人事資料通報」の対象となった。政府関係者による不正を記録として残す「人事資料通報」対象者のうち2人はすでに退職したが、それ以外は国土交通部の役職者や関係機関のトップとして今も在籍している。

【統計データ改ざん】当時の関係者の発言と監査院報告の概要

 問題の職員らは監査結果を不服として前回の大統領選挙直前に監査院に再審議を請求した。金恩慧議員の事務所によると、再審議は請求から2カ月以内に結論を出すことが原則だが、監査院は政権交代後の今年7月「再審議の期限内には結論が出ず、時間がかかる可能性がある」と国土交通部などに通告したという。

 この問題を受け政界からは「尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権で行われた文在寅前政権関連の監査をひっくり返すためでは」との指摘が相次いでいる。李在明(イ・ジェミョン)政権発足によりチョン・サンウ氏が監査院事務総長に任命され、その後監査院はタスクフォース(作業部会)を立ち上げ過去の監査に誤りがなかったか調査を行っているが、「統計改ざん疑惑」の監査もその中に含まれている。

 この疑惑は文在寅前政権で大きな問題となった不動産価格高騰をめぐり、当時青瓦台(韓国大統領府)と国土交通部が韓国不動産院に対し、マンション価格関連の統計について100回以上改ざんを指示したというもの。2024年3月に金秀顕(キム・スヒョン)元青瓦台政策室長、金商祚(キム・サンジョ)元青瓦台政策室長、金賢美(キム・ヒョンミ)元国土交通部長官ら11人が在宅で起訴され、これまで1年7カ月にわたり一審の裁判が続いている。与党・共に民主党は「不正監査」を主張し国政調査を検討したこともある。

 今後は監査院TFの報告書が裁判や懲戒の再審議に影響するとの見方が浮上している。停職が求められた国土交通部のある幹部は現在地方国土管理庁のトップで、「人事資料通報」の対象となったある人物は地方航空庁のトップを務めている。

 一方で国土交通部が統計改ざん疑惑発覚後に国土研究院に指示した「住宅価格統計制度改善研究」の結果報告も何度も先送りされているという。先送りについて国土研究院は「国土交通部から研究結果の見直しと修正の指示を受けている」と明らかにした。

ヤン・ジヘ記者

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  • ▲大田地裁で開かれた統計法違反事件の公判に出頭する前に記者団の取材に応じる金秀顕(キム・スヒョン)元青瓦台(韓国大統領府)政策室長(左)と金商祚(キム・サンジョ)元青瓦台政策室長/聯合ニュース

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