■違憲確定の「対北ビラ禁止法」も別法案として法制司法委員会で与党により可決
李在明(イ・ジェミョン)大統領は今年9月に国務会議(閣議に相当)などでソウル明洞周辺の反中デモを批判した。李在明大統領は「特定の国からの観光客を非難し侮辱している。関係悪化を狙う意図的なものだ」「それらは表現の自由ではない。ただの狼藉(ろうぜき)だ」と発言した。金民錫(キム・ミンソク)首相は先月の反中デモについて「自害的行為だ」として法務部(省に相当)と警察庁に厳正な対応を指示した。先日の韓中首脳会談でも反中デモについて重点的に意見交換が行われたという。共に民主党のある関係者は「表現の自由の範囲を逸脱し外交問題になる恐れもあるため、立法で対応するしかない」との考えを示した。
国民の力のイ・ジェヌン・メディアスポークスマンは「民主労総(全国民主労働組合総連盟)の反米デモは放置し、反中デモに対しては刑務所送りにするそうだ」「星条旗を破り米国大使館に放火しても表現の自由を理由に反米運動は処罰しなかった」などと批判した。これに対して共に民主党のムン・グムジュ院内スポークスマンは「特定の国、国民、人種に対する虚偽の流布や侮辱行為を禁じる常識的な法案だ」「表現の自由は民主主義の根幹だが、その自由は他人の人格を傷つけ共同体を分裂させる盾にはならない」と反論した。
政界の一部からは「共に民主党は来年6月の統一地方選挙を念頭に置いている」との指摘も出ている。韓国では永住権取得から3年以上居住した外国人に地方選挙権が与えられる。2022年の統一地方選挙では外国人有権者が約12万6000人登録されていたが、その79%に当たる約10万人が中国人だった。来年は外国人有権者がさらに増える見通しだ。
キム・サンユン記者