ベトナムが中国に対抗して、南シナ海で過去4年間に計21の独立的な人工島を建設したという。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙が戦略国際問題研究所(CSIS)の報告書や衛星写真の独自分析を通して3日付で報じた。
CSISの今年3月の報告書によると、ベトナムは2021年から南市中尾のスプラトリー諸島(中国名:南沙諸島)において岩礁や岩盤、サンゴ礁などを埋め立てて軍事的に強化された人工島を構築した。これらの島々は中国だけでなく台湾・フィリピン・マレーシア・ブルネイとも領有権が重なる地域に位置している。
WSJによると、スプラトリー諸島に構築したベトナムの人工島には複数の港湾や大型軍用機の発着できる3200メートルの滑走路、弾薬貯蔵施設、重火器を配備した防御施設が設けられている。
南シナ海には、世界の海上貿易量の30%、年間3兆-3.5兆ドル(現在のレートで約461兆-538兆円)規模の物流がある。また、中国の台湾武力侵攻時における米海軍力の主要補給ルートでもある。
ベトナムの人工島は、スプラトリー諸島で2013年末から本格的に人工島を構築して軍事施設化した中国への対抗であり、同時に、ベトナムが南シナ海で軍事力を投射できる基盤を提供するものだ。
ベトナムは同諸島内で自国が占有している干潮露出地(干潮時にのみ水面上に現れる岩礁や砂洲)および岩礁21カ所全てで新たな土地を造成した。中国はスプラトリー諸島に七つの人工島を保有している。
米国のシンクタンクCSISの3月の報告書によると、その結果、ベトナムは3月現在で南シナ海に計8.9平方キロ規模の人工島を造成した。これは、中国の16.2平方キロに続いて2番目に大きな規模だ。
この中でも、ベトナムが構築した最も大きく精巧な人工島は「バーク・カナダ礁(Barque Canada Reef)」。ここでは、天然のサンゴ礁によって保護された浅水域(ラグーン〈lagoon〉)の港湾に多数の埠頭(ふとう)を設置し、長さ3200メートルの滑走路と弾薬庫も建設した。現在も、追加拡張のために海の土や砂を掘るしゅんせつ船が活動している。
また、かつては幾つかの建物があるだけだった「サンド礁(Sand Cay)」も、数年を経て大型港湾や軍事施設を備えた大型海上要塞(ようさい)に変貌した。