京畿道城南市大庄洞の土地開発を巡る背任事件で起訴された民間業者の裁判で検察が控訴を放棄したことを巡り、法務部の鄭成湖(チャン・ソンホ)長官は10日、「求刑より重い刑が宣告され、控訴をしなくても問題にならないと判断した」「幾つかの事項を考慮して慎重に判断してほしいという意見を大検(大検察庁。最高検に相当)に伝えた」と発言した。前日まで「知らない」と言っていたのに、前言を翻したのだ。鄭法相の発言は、検察に事実上、控訴するなという意味で、閣僚のこうした発言を単なる意見表示と受け止める公務員はいない。大庄洞事件の民間業者5人のうち3人は検察の求刑より軽い刑が言い渡され、鄭法相の発言は事実関係とも合致していない。事件が大きくなったことで急きょ、言い繕っているものとみられる。
鄭法相は、公式に捜査指揮権を発動して盧万錫(ノ・マンソク)検察総長代行に控訴放棄の指揮をする法的手続きは踏まなかった。事実上、裏で捜査指揮を行った。それ自体が検察庁法違反かつ、職権乱用に該当する可能性が高い。
最大の疑問は、この衝撃的な指示を鄭法相一人で行ったのだろうかという点だ。大庄洞事件の控訴放棄をしたら、大庄洞事件一味は検事の手を縛っておいて裁判を進めることができる。裁判が一方的に進んでいく、という意味だ。大庄洞一味に数千億ウォン(1000億ウォン=現在のレートで約106億円)のカネがそのまま流れ込むことになる。こんな結果を生む控訴放棄は国民的反発を買うだろうという事実も、誰もが予想できる。こんな大きなことを鄭法相一人で決定できると信じる人間はほとんどいないだろう。野党側は「李在明(イ・ジェミョン)大統領の要求」「大統領の影響力なしにこんなことがあり得るか」と主張した。
今の時点で、李大統領が関与したという証拠はない。だが、そうした状況がないとも言い難い。大庄洞事件の控訴放棄で利益を得る人間は大庄洞一味と李大統領だからだ。鄭法相は李大統領に最も近い側近で、現在検察を担当している大統領室民情首席室秘書官4人のうち3人が李大統領の弁護人出身だ。李大統領が控訴放棄問題を知らなかったとしたら、常識外れだ。
李大統領は、大庄洞事件で民間業者とは別に起訴されて一審の裁判を受けていたが、就任後に裁判手続きが停止された状態だ。民間業者がどのように証言するかによって今後、李大統領の裁判も影響を受けかねない。そのため一部では、李大統領が控訴放棄で民間業者たちをなだめ、彼らから有利な証言を得ようとしたのではないか―という疑念が提起されている。事実であれば、極めて深刻な法的問題になる。
大統領室は公式声明を出していない。ただし、大統領室の関係者たちは「現況の報告は受けたが、指針を大統領室が下したわけではない」とした。李大統領が指示しなかったのなら、疑惑がさらに大きくなる前に国民の前に出てきて釈明すべきだ。それで足りないのなら、公捜処(高位公職者犯罪捜査処)なり特別検察官なりが早く捜査を通して事実関係を明らかにすべきだ。公捜処は、高位公職者の不正を捜査すべしとしてつくった組織。今がまさに、その存在理由を証明すべきときだ。