指紋・血液・虹彩情報を全て収集…中国公安に完全掌握される脱北者の生体情報

 報告書は中国政府がコロナの当時、脱北民の行動を管理するために、身体情報を収集し始めたと分析した。当時中国政府は「健康碼」と呼ばれる防疫情報管理アプリなどを通じて中国人の行動を把握してきた。 しかし、不法滞在者の脱北者はそのアプリに登録されておらず、個別に彼らの生体情報を収集したとみられる。

 ところが、コロナ終息後も中国政府は脱北者の生体情報を収集し続けている。中国政府が脱北者を「特別監視・管理対象」にしているという分析が聞かれる。北朝鮮専門メディアのデイリーNKは最近、北朝鮮消息筋の話として「中国国内で脱北者は単純な不法滞在者ではなく、国家安全保障レベルの重要管理対象だという認識が広がっている」とし、「脱北者は外部との接触を極力避け、移動を自粛しているムードだ」と報じた。

 中国政府は脱北者に「微信(ウィーチャット)」「快手」などのスマートフォンアプリで移動経路をリアルタイムで報告するよう求めていることが分かった。ある脱北者は「公安から何度も電話がかかってきたが、何度も出られなかったところ、後から『出なかったら、あなたは逃げたことになる』『次からは必ず出ろ』と言われた」と証言した。

 中国公安当局が全地球測位システム(GPS)でリアルタイムに位置が認識できるカメラアプリをインストールさせたとの証言もあった。問題のアプリは写真撮影の時間や位置、携帯電話の識別番号などを通じ、撮影者の動線をリアルタイムで収集、分析するものだ。ある脱北者は「公安が毎日午前9時、アプリで顔写真を撮ってWeChatで送るよう要求した」とし、「アプリを削除し他の都市に移動すると、すぐに公安から電話が来て『どこに行ったのか』と言われた」と証言した。報告書は「公安は中国国内で騒ぎや犯罪を起こさずに静かに生活しろと持続的に言い聞かせる。脱北者が事前報告なしに他の地域に移動すると、警察の管理が強化される」と指摘した。

 報告書は脱北者が韓国に来た後も中国公安が過去に収集した生体情報と通信記録を保存し、その情報に基づき脱北者に対する管理を続けようとしているとした。ある脱北者は調査に対し、「中国に再入国したら、公安から『北朝鮮があなたを捕まえようと血眼になっている。(北朝鮮に送還しても)我々を恨むな』と脅された」と話した。脱北者は「韓国に来てからも自由ではない」と漏らしている。

 北朝鮮人権情報センターは「生体情報を無差別に収集し保管することは、国連の『市民的、政治的権利に関する国際規約』に違反するものだ」とし「虹彩や声紋など高リスクでセンシティブな情報は不法滞在者管理という行政目的を超え、長期間の追跡と監視に使われる危険がある」と結論づけた。

チャン・ユン記者

【グラフィック】中国公安による脱北者の生体情報収集の実態

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