朝鮮の女性の人権水準が極めて劣悪という点も取り上げた。ビンテルスは「一人暮らしの女性は、力であろうと誘惑であろうと、誰でも強奪できる。法でこれを治めていない」「韓国では女性たちがどれほど尊重されていないかというと、自分の名前すら持たない」など、当時の女性に関する大衆の認識、風習を記録した。
このほかにも「飲酒は結構な趣味だとは見なされていないにもかかわらず、酒豪は羨望(せんぼう)の対象になる」「金持ちの家に行ったら、客1人につき1羽の鶏を丸ごと出すのが慣例」など、当時の朝鮮社会についての細かな事実が記録された。ビンテルスは、シベリアを横断する際に立ち寄った幾つもの都市や直接目撃した歴史的事件についての本や紀行文を残し、後に民族運動家・言論人になった。なお、ビンテルスが観察した韓国の都市の名前は「ウスル(Ussur)」だということが分かっているが、この都市が朝鮮のどの場所なのか正確につかむことはできなかったという。
ヤニス・ベルジンス駐韓ラトビア大使は「本書は韓国・ラトビア間の最初の外交記録物にほかならない」としつつ「グローバル化以前の時代に、ラトビアと韓国の文化をつなぐ最初の橋を架けた著者に敬意を表する」と述べた。本書は商業的用途では販売されず、韓国各地の図書館に無料で寄贈される予定だ。
キム・ボギョン記者