大庄洞事件一審判決の控訴放棄に反発した検事長らに対し、韓国法務部(省に相当)が「平検事降格」などの人事を行わないことが23日までに分かった。韓国大統領室の関係者は同日、本紙の取材に「集団で反発した検事長らに対する監察や追加の人事は行わない」「これ以上騒動を起こさず検察の安定を最優先にすることで決着が着いた」と伝えた。
これに先立ち検事長18人は、ソウル中央地検による大庄洞事件の控訴放棄から3日後の10日、検察内部のネットワークに声明を出し、盧万石(ノ・マンソク)元検察総長職務代行に控訴放棄を指示した経緯の説明を求めた。これに対して共に民主党の一部から「抗命」として検事長らに対する人事措置を求める声が上がり、一部強硬派は検事長18人を刑事告発した。
しかし法務部は、検察総長職務代行やソウル中央地検長が新たに任命された直後という事情を考慮し、検察組織安定のため降格などの人事は行わないことにした。韓国大統領室の姜勲植(カン・フンシク)秘書室長ら大統領室幹部らも検事長の懲戒処分に反対したという。ある政府関係者は「検事長らに控訴放棄について説明し、彼らも理解したと聞いた」と伝えた。人事に対する行政訴訟を起こされた場合、裁量権逸脱乱用として敗訴する可能性が高いことも考慮されたようだ。
これら韓国政府による一連の方針にもかかわらず、共に民主党の院内執行部や法制司法委員会の強硬派は厳しい対応を進める意向だという。共に民主党の金容民(キム・ヨンミン)議員ら法制司法委員会の強硬派議員らは11月19日付で検事長らを刑事告発し、金炳基(キム・ビョンギ)院内代表はこれを後から知らされ激怒したという。金炳基院内代表が「後始末はそこ(法制司法委員会)でやれ」と伝えると、金容民議員は「後始末はちゃんとできる」と反論したようだ。
与党内部も頭を痛めている。韓国大統領室の関係者は「(検事長に対する告発は)個別の議員らの主張に過ぎず、執行部の方針とは違うはずだ」「大統領室が個別に対応する必要はないと思う」とコメントした。与党のある関係者は「強硬派議員らも検事長への対応に対する竜山(韓国大統領室)の意向を伝え聞いたようだ」「統一地方選挙を控えて一部議員らは『自己政治(政治家が党の利益より自分の立場を優先すること)』の必要性を感じているのでは」との見方を示した。
一方で韓国法務部などによると、今年1月から今月10日までに離職した検事は161人だという。ここ10年では最も多く、中でも勤続10年未満の検事は52人で、全体の3分の1を占めた。特に検察庁廃止を含む政府組織法改編案が国会で成立した今年9月には47人が辞表を提出した。韓国大統領室と法務部が検事長への懲戒を取りやめた背景には、検事の相次ぐ離職など検察組織の動揺が高まりつつあることも影響したとみられる。
チュ・ヒヨン記者、パク・ヘヨン記者