韓・前首相側の弁護人は「非常戒厳宣布がすぐさま刑法上の内乱罪につながるわけではない」としつつ「韓・前首相は『宣布』のほかに具体的な内乱行為について知らなかった」と強調した。戒厳宣布そのものの違法性は争いの余地があり、その後の、違法の余地がある軍投入などにも韓・前首相は関与していない―という趣旨だ。
逆に特検側は、1980年の5・17非常戒厳拡大措置に関わって内乱容疑で有罪判決を受けた周永福(チュ・ヨンボク)元国防相の事例を挙げて「裁判所は懲役7年を言い渡し『他人の力を借り、所任を尽くせなかったと弁明するのは下僚のやることであって、地位が高く、責任が重い場合の弁明としては受け入れられない』と判示した」と述べ「同じように、行政府ナンバー2だった被告の弁明は容赦・容認されない」と主張した。
この日、内乱関連事件の中で韓・前首相の裁判が真っ先に結審したことに伴い、「12・3非常戒厳が内乱なのかどうか」についての裁判所の最初の判断は李珍官裁判長が下す可能性が高まった。李裁判長は、証人として出廷した前政権の国務委員を叱責(しっせき)するなど、有罪の心証を持っているかのような裁判進行を行い、法曹界からは「重い刑の言い渡しが予想される」という見方が出ている。
李裁判長は、当初特検が韓・前首相を内乱首謀者のほう助容疑で起訴したのに対して、内乱重要任務従事容疑を追加するよう要請して起訴状を変更させたが、これもまた有罪宣告のためのものではないかという分析がある。内乱首謀者の正犯として起訴された尹・前大統領よりも先にほう助の容疑で有罪を言い渡すのは容易ではないからだ。
キム・ウンギョン記者、オ・ユジン記者