李在明(イ・ジェミョン)政権の拡張財政路線を反映した初の予算案となる来年度予算案が韓国国会で成立すれば、国内総生産(GDP)に占める政府債務の割合が来年末には50%を超え、財政の健全性に赤信号が灯ることになる。
企画財政部によると、来年度予算案の歳出は728兆ウォン(約77億8000万円)で、追加補正予算案を反映していない本予算段階としては史上初の700兆ウォン台だ。前年比の伸びは過去最大の55兆3000億ウォンに達する。政府の見通しによれば、歳出は次第に増え、2028年800兆ウォンを超え、李在明政権4年目の29年には834兆7000億ウォンに達する。
問題は歳出の増加ペースに国税収入など歳入が追いつかない点だ。歳出は4年間で年平均5.5%増えるが、同じ期間に国税収入、税外収入、基金収入など歳入の伸びは同4.3%にとどまる。韓国経済が潜在成長率(物価を刺激することなく達成可能な最大成長率・推定1.9%)を下回る低成長に陥っているためだ。韓国銀行は今年の成長率を1.0%、来年と2027年の成長率をそれぞれ1.8%、1.9%と見込んでいる。
来年度の歳入は674兆2000億ウォンで、53兆8000億ウォンの赤字が発生する。国民年金など社会保障性基金の黒字分を除いた実質的な国家財政指標である管理財政収支基準で見れば、来年の財政赤字は109兆ウォンに達する。赤字幅は2028年に128兆9000億ウォンまで拡大し、これまで最多だった2023年(117兆ウォン)を上回る。
不足分は国債を発行して埋めなければならない。それによって、今年末に49.1%と見込まれる政府債務の対GDP比は来年末には51.6%に上昇する。拡張財政路線と低成長が続き、李在明政権の任期が終わる2030年には、60%に迫る可能性がある。
政府は人工知能(AI)へのシフトなどに資金供給を行うことで、成長率を押し上げる計画だ。しかし、急激な高齢化による基礎年金など義務的支出の増加で、経済再生に充てられる資金が次第に不足する懸念がある。来年度の歳出で義務的支出を除いた裁量的支出は46.7%の340兆ウォンだ。この割合は次第に低下し、2029年には44.2%になると見込まれる。
鄭錫愚(チョン・ソクウ)記者