「尹錫悦を釈放した判事は処罰できる」 与党・共に民主党の動きに専門家ら「違憲」「罪刑法定主義に反する」

 その上、フランスは裁判官、イタリアは裁判官・検事が本人の同意なしに昇進、異動されないという「不動性の原則」も憲法に明示している。政治権力によって裁判官などが不当な人事の対象とならないように配慮したものだ。キム・ジョンミン弁護士は「民主党はそうした司法府独立保障の仕組みも設けていない」とし、「裁判官人事を掌握しようとするものだと」と評した。

 法曹界からは「内乱専担法廷」に対しても「違憲的発想」だという指摘が出ている。この法案には憲法裁判所、法務部、判事会議が推薦した人々で構成する推薦委員会がソウル中央地裁、ソウル高裁の内乱事件法廷と令状専門担当判事を推薦し、大法院長が任命することなどが盛り込まれている。

 これについて、建国大の黄道洙(ファン・ドス)教授は「憲法上、司法権には裁判所の裁判の一環である『事件割り当て』も含まれる」とし、「決して立法府が関与することではない」と断じた。法院行政処も国会法制司法委員会に「特定事件について、一定の方向に判決が下されることを希望し、特定の傾向があるとみられる特定の裁判官に事件が割り当てられるように影響を及ぼした場合、憲法上、国民が公正に裁判を受ける権利を侵害することになる」との意見を提出した。

 高麗大法学専門大学院の張永洙(チャン・ヨンス)教授は「15~17世紀の英国の星室庁(スター・チェンバー)による弊害以後、特別裁判は行わないというのが世界的傾向だ」として「内乱専担法廷は『特定事件』だけを念頭に置いた事実上違憲的な特別法廷だ」とも話した。ドイツと日本は最初から特別裁判所の設置禁止を憲法に定めている。

 韓国の場合、憲法上特別裁判所は軍事裁判所だけを置くとしている。法律専門家は「1961年の軍事政権による革命裁判所でさえ当時の憲法に形式上の根拠があった」と話した。国民の力は「ナチスの特別裁判所のような発想」だと批判した。

 民主党が設けようとしている法歪曲罪も違憲だとの指摘が支配的だ。法院行政処をはじめ、現政権の法務部、警察も国会法制司法委に「判事、検事、警察に対する告訴、告発が乱発されるだろう」と反対意見を提出したとされる。黄道洙教授は「誰が法の歪曲を判断するのか。罪刑法定主義、明確性の原則に完全に反する」と述べた。

キム・ジョンファン記者、オ・ユジン記者

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