グローバル台湾とガラパゴス韓国【台北特派員コラム】

 台湾にも韓国にも「板橋」という名前の都市がある。名前だけでなく、首都に近い衛星都市という点、テクノロジー企業が集約した地区があるという点が韓国の板橋新都市と似ている。 台湾・板橋のテクノロジータウンは韓国の板橋より規模が小さいが、グーグル、アマゾン、エリクソンなどの大手外資系企業が多く進出している。「ネカラクベ(ネイバー、カカオ、ライン、クーパン·配達の民族の頭文字を取った通称)」に代表される国内IT企業が拠点を構える韓国の板橋とは異なる点だ。

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 台湾の板橋にはグーグルが丸ごと入居するビル2棟がある。13階建ての建物をグーグルが自ら改装して昨年から稼働を開始し、ハードウェアの研究開発(R&D)センターとして使われている。米本土を除けば、海外のハードウェアR&D拠点で最大規模だ。グーグルは先月、台北の士林地区に人工知能(AI)のR&Dセンターも設けた。ここもグーグルの海外AI研究拠点で最大規模を誇る。

 台湾で幅を利かせているのはグーグルだけではない。エヌビディアも最近、士林にシリコンバレー本社に匹敵する規模の台湾支社を設立することを決めた。アップル、マイクロソフト、アマゾンなどいわゆる「マグニフィセント・セブン」企業の相当数が台湾を重要なR&D拠点として活用している。規制による負担がほとんどなく、税金優遇が明確なシンガポールに「アジア本部」を置き、製造業の基盤が強固な台湾で大規模なR&D拠点を運営することで、供給網(サプライチェーン)の中核を直接管理するのがビッグテック企業のやり方だ。

 グーグル台湾支社で働く韓国人社員にビックテック企業各社にとって韓国はどのような市場なのか尋ねると、「あえて韓国?」という反応だった。サムスン、ネイバー、カカオなど大企業が市場を掌握し、激しい競争が避けられないが、それを許すほど市場規模も大きくない。自国産業の保護を最優先する排他的な政府の路線、強硬な労組、高い規制障壁も考慮すると、韓国で事業規模を拡大する誘因は小さいというのだ。海外企業の誘致に力を入れ、低賃金で労働柔軟性も高い台湾という立派な選択肢まである。

 外国企業を阻止し、韓国の「産業主権」を守り抜く現状は喜ぶべきことだろうか。「韓半島天動説」的な見解を離れて眺めると、「グーグルマップとウーバーがまともに使えない数少ない国」という評価が韓国に対する冷淡な現実だ。「外勢」に塀を高く築き、我々が守った物は何か。3000万人を超える個人情報が流出したクーパン、自滅的アップデートでユーザー4800万人の不興を買ったカカオトークなど「ガラパゴス韓国」の異常な兆候は枚挙に暇がない。

 相対的に「守るべき物」が少なく、外国企業に門戸を開放してきた台湾は今年、約7.4%の経済成長を記録する見通しだ。韓国の得失は何か。台湾の疾走を眺めながら、冷静に損得勘定を作成しなければならない時が来ている。

台北=リュ・ジェミン特派員

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