中国が初めてレアアースを武器として活用したとされている2010年に日本と衝突した際、韓国でもレアアースの対中依存を軽減すべきだという声が出た。レアアースは「産業のビタミン」と呼ばれるほど主要産業に必須の素材だ。全世界のサプライチェーンは中国が握っている。
国際エネルギー機関(IEA)が10月に公表した報告書によると、中国は全世界のレアアース採掘量の59%を占める。レアアース精製能力は全世界の91%に達する。レアアース17種類のうち、ネオジムとジスプロシウムを使用する永久磁石の生産シェアは94%だ。永久磁石は同じ重さの鉄磁石より最大15倍の磁力を持ち、電気自動車(EV)のモーター、風力発電機タービン、ロボット、ドローンなどに使われる。
日本は2010年以降、レアアースの対中依存度を下げるため、海外での採掘権確保、リサイクル推進、代替素材開発、国家備蓄という4方面のレアアース確保戦略を立てた。日本はエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)を中心に海外でのレアアース開発に積極的に投資した。
JOGMECはレアアース鉱山を保有している世界2位のレアアース生産企業、豪ライナスに2023年に2億豪ドル(約207億円)を投資し、レアアース供給契約を締結した。今年3月にはフランスのカレスターに1億ユーロ(約183億円)を投資し、高性能磁石に欠かせないレアアースを確保した。
また、日本の産業界は政府主導でレアアースの使用量を削減したり、他の素材で代替したりする技術開発に乗り出した。トヨタ自動車はEVモーターに欠かせないネオジムの使用量が以前の半分で済む新型磁石を開発した。信越化学工業は、高性能磁石に使われる中国産レアアースを従来の3分の1に減らす技術の開発に成功した。その結果、日本の中国産レアアースへの依存度は業界の推定で中国とのレアアース戦争当時の2010年90%以上から現在は60~70%に低下した。
一方、韓国の2024年時点の中国産レアアースに対する輸入依存度は79.8%で、日本より高い。永久磁石は中国産が90%に達する。韓国政府も23年、重要鉱物確保戦略を立て、供給先の多角化、海外鉱物資源開発、備蓄拡大などに乗り出した。しかし、特定国への依存度の高い品目を180日以上備蓄するという目標以外にはこれといった成果を出せずにいる。
政府主導の海外鉱物開発は行われていない。 李明博(イ・ミョンバク)政権当時、国家レベルで資源確保への取り組みを開始した韓国鉱物資源公社が資源開発に直接投資したものの、債務超過状態に陥った影響だ。その後、同公社は財務健全性が高い韓国鉱害管理公団に統合された。
漢陽大資源環境工学科のキム・ジンス教授は「レアアースなど重要鉱物を備蓄する政策以外には財政支援が特にない状況だ。中国産レアアースと関連製品が安いため、他の方策を探す経済的誘因は小さい」と述べた。キム教授はまた、「日本のように政権の変遷と関係なく、資源確保政策が推進され、企業が鉱物のサプライチェーンを多角化するよう促す対策が必要だ」とも指摘した。
チョン・ミハ記者