「エセ歴史学に対して断固たる立場を」 韓国の歴史学界、李在明大統領「桓檀古記」発言に批判声明

 李在明(イ・ジェミョン)大統領が先ごろ、「偽書」と認識されている古代の歴史書『桓檀古記』に言及したことに対し、韓国古代史学会や韓国歴史研究会など韓国の代表的な歴史・考古学会48団体は17日、批判と懸念を示す声明を発表した。

【写真】「世界の文明は韓民族から始まった」 桓檀古記の主張を世界地図で確認

 各団体は声明で「李在明政権と与野党の政治家らは、似非(エセ)歴史学に対して断固たる立場を取れ」と要求した。さらに「明白な偽書である『桓檀古記』を基にした疑似歴史は、不正選挙論のように無茶苦茶な主張で韓国の近現代史を歪曲(わいきょく)するニューライト歴史学と相通じるものがある」として「エセ歴史学の根本は、日本帝国主義の大アジア主義(大東亜共栄圏)に通じている」と主張した。

 また「歴史学界での定説は、(『桓檀古記』は)1979年に李裕岦(イ・ユリプ)が刊行した偽書ということだ」として「偽書はその名の通り、偽の歴史書に過ぎず、いかなる史料的価値もない」と指摘した。

 各団体は「歴史学界とエセ歴史学の間には、いかなる学問的論争も存在しない。歴史学界に向けたエセ歴史(主張者)の一方的な非難と荒唐無稽な主張が存在するだけであり、これを学問的な論争や観点の違いと見なすことはできない」として李大統領の発言を批判した。さらに「このような点から、韓国大統領室は『ファンパ(極端な愛国主義で偽の韓国史を広めようとするエセ歴史学者)』や『桓檀古記』に関する大統領の曖昧模糊(もこ)な表現に対し、明確な立場を明らかにする必要がある」と主張した。

 また▲李在明政権と与野党はエセ歴史学の危険性を明示し▲政府は明白な立場を表現していかなる支援もしないことを約束し▲歴史政策の樹立と推進において専門家の意見を尊重すること-を要求した。

兪碩在 (ユ・ソクチェ)歴史文化専門記者

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • ▲『桓檀古記』に登場する「桓国」の領土。世界文明の始点となったと書かれている。/グラフィック=クォン・ヘイン(朝鮮デザインラボ)

right

あわせて読みたい