中国・武漢市政府などが米ミズーリ州を相手取り、新型コロナウイルス関連の言説は中傷だとして、巨額の損害賠償を要求する民事訴訟を起こしたことが分かった。
【写真】武漢から新型コロナの状況を発信して4年間収監された中国市民記者、釈放1年後に再び懲役4年判決
香港紙サウスチャイナモーニングポストによると、ミズーリ州のキャサリン・ハナウェイ司法長官は先週、中国・湖北省武漢市の中級人民法院から3564億3700万元(約7兆8900億円)の賠償を要求する民事訴訟が提起されたとの通知を受け取ったという。
今回の訴訟は新型コロナウイルス感染症が初めて確認された武漢市の市政府をはじめ、武漢ウイルス研究所とその上位機関である中国科学院が原告となり、今年に4月30日に起こされた。
被告はミズーリ州のマイク・キーホー州知事とエリック・シュミット元司法長官、米連邦捜査局(FBI)のアンドリュー・ベイリー共同副局長の3人。
原告は被告がこれまでのコロナ関連訴訟で中国側の名誉を深く傷つけ、大きな経済的損失を招いたと主張した。コロナ禍を政治化し、それを利用して中国に烙印(らくいん)を押し、中傷しようとしたとの主張だ。
今回の訴訟は、5年前にミズーリ州が米国の裁判所に起こした訴訟に対抗したものだとの分析が聞かれる。当時ミズーリ州の司法長官だったシュミット上院議員は中国政府、中国共産党、武漢市などを提訴している。訴訟は中国側の隠ぺいで新型コロナウイルスが拡散し、「数兆ドル」規模の経済的被害が生じたという内容だった。
米連邦裁は今年3月、新型コロナウイルス拡散当時の情報隠ぺいと防護用品備蓄に対する責任を認め、中国側にミズーリ州に対する賠償金240億ドル(約3兆7400億円)の支払いを命じた。
中国側は米国側の訴訟について、「政治的動機にともなう喜劇」だとし、「中国の法的権限を守るために断固とした対抗措置をする」と表明していた。
チョ・ジョンリン記者