「日本の風」は同じ課題を抱える韓国と日本のあまりに異なった対応を示している。李在明大統領は今月初めに外信記者団との会見で、北朝鮮に抑留されている6人についての質問に「初めて聞く話だ」と述べた。韓国統一部(省に相当)は1953年の休戦協定締結以来、北朝鮮に拉致された韓国人は彼らを含め522人と集計している。家族が待つ6・25戦時拉致被害者と未送還の韓国軍捕虜推定者まで含めると18万人を上回る。
韓国で彼らの存在が忘れられつつある間も、玄界灘の向こうではわずか12人の拉致被害者を忘れず必死の努力を続けている。日本政府は今月13日、若い世代向けに日本人拉致被害者問題の概要、さらにこれを否定する北朝鮮の主張に反論する35分の動画をユーチューブに公開した。11月3日に「拉致被害者家族会」や「救う会」などの主催で開催された「全拉致被害者の一括帰国を求める国民大集会」には高市早苗首相や木原稔官房長官も出席した。日本の風は列島の内外で今も力強く吹いているのだ。
李在明大統領が対話を呼びかけている北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記は今年8月、ロシアによるウクライナ侵攻に派兵され戦死した北朝鮮軍兵士をたたえ遺族を慰めた。自分が送らなければ間違いなく生きていた若者たちだ。このニュースでは国の存在理由とトップの役割を考えざるを得ないが、それでも希望を捨てない「日本の風」は今日も北朝鮮の夜空に響いている。
鄭智燮(チョン・ジソプ)記者