問題は今回の事態が収まった後も中日関係が改善する見込みがなく、危機が再発するリスクも残っている点だ。「台湾有事は日本有事」とする日本の認識と政策が今後変わるとは考えられず、中国と日本の利害関係は構造的に妥協には至り得ない。すでに常態化している中国海警による尖閣諸島周辺の領海侵犯とこれに伴う両国海洋警察の対立が軍事衝突につながる可能性も排除できない。中国は台湾問題に対する外国の介入を「主権侵害」「内政干渉」と見なし、断固たる対応を取ってきた。しかも1895年の清日戦争から50年間、台湾を支配した日本が台湾事態に介入する動きを示せば、中国は理性と自制力を失う傾向もある。
注目すべきは米国の動きだ。外信報道によると、トランプ大統領は11月25日に高市首相と電話会談を行い、台湾問題で中国を刺激しないようアドバイスしたという。来年4月の中国訪問で貿易面での対立を解消し、経済的実利を得たいトランプ大統領にとって同盟関係など眼中にないことが改めて浮き彫りになった。米中の戦略的競争よりも戦略的協調の方が韓国や日本にとってより大きなリスクになることを示している。
台湾有事は韓国にとっても「対岸の火事」ではない。台湾周辺海域は韓国経済の命綱である海上輸送路の中心にある。中国が台湾と南シナ海を支配し、その命綱を押さえられれば韓国にとってもいわば存立危機事態になる。そのためレアアースなどを中国に過度に依存する状態から脱却し、覇権を目指す中国の横暴に対抗する力を確保するまで韓国は中国との全面的な対立は可能な限り避けるしかない。
台湾問題への言及が求められた場合、2021年以降の韓米首脳会談の共同声明やジョイント・ファクト・シートですでに使用した文言の範囲から逸脱してはならない。これまで韓米両国が合意した三つの点は「台湾海峡の平和と安定の重要性」「台湾海峡問題の平和的解決」、そして「インド太平洋地域の一方的な現状変更反対」だ。中国も韓半島問題に言及する際には同じような表現を使うため特に問題になることはない。一方的な現状変更反対は台湾や尖閣諸島はもちろん、独島にも適用される点に留意しなければならない。
千英宇(チョン・ヨンウ)元韓国大統領府外交安保首席・韓半島未来フォーラム理事長