務安空港事故 韓国警察「重大災害処罰法の適用は困難」【独自】

務安空港事故 韓国警察「重大災害処罰法の適用は困難」【独自】

 179人が犠牲になった「務安国際空港・済州航空機事故」について、捜査を担当する全羅南道警察庁が「重大災害処罰法」の適用は難しいと判断したことが28日までに分かった。重大災害処罰法の適用は国土交通部(省に相当)、韓国航空公社、航空会社、航空機メーカーなど事故当事者や経営責任者の処罰はもちろん、遺族への損害賠償を5倍に引き上げる重要な条件となる。遺族らは朴庠禹(パク・サンウ)元国土交通部長官、韓国航空公社の尹亨重(ユン・ヒョンジュン)元社長、済州航空の金二培(キム・イベ)代表らを同法違反容疑などで告訴している。

【写真】務安空港コンクリート構造物の側面図

 この事故に重大災害処罰法を適用するには、事故が「重大市民災害」と認められねばならない。重大市民災害とは「特定の原料または製造物、空中利用施設または空中交通手段の設計、製造、管理上の欠陥を原因として発生した災害」を意味する。

 警察はローカライザー(着陸誘導システムの方位角装置)とコンクリート製の盛り土について、重大市民災害で定める「空中利用施設」に該当しないと判断した。「旅客ターミナル」は空中利用施設だが、ローカライザーなどはこれに該当するとは言い難いと結論づけたのだ。

 航空機は重大市民災害で定める「空中交通手段」に相当する。ただし重大災害処罰法の適用には「設計、製造、管理上の欠陥」が前提となり、この部分が立証できないと警察は考えている。また航空鉄道事故調査委員会も「航空機の重要部分となるエンジンには欠陥がなかった」と明らかにした。重大災害処罰法が適用されない場合、処罰はより軽い業務上過失致死などが適用され、遺族への賠償額も大幅に少なくなる。

 遺族らは警察について「事故調査委員会ばかりに依存している」と批判している。航空機の機体の欠陥や整備上の問題などを捜査する時間は十分にあったが確実に行われなかったとも主張している。警察はこの1年で44人を立件したが、1人も起訴には至っていないため、遺族らは今年10月に警察庁本庁に捜査チームの監察を求める文書を提出した。遺族協議会のある関係者は「民間の建設現場では1人2人死亡しても大統領や長官が重大災害処罰法に基づく厳罰を指示するが、179人の罪のない犠牲者を出した大事故に重大災害処罰法が適用されないのはおかしい」と訴えた。

キム・アサ記者

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