【ソウル聯合ニュース】韓国統一部は30日、李在明(イ・ジェミョン)大統領に報告した来年の業務計画の関連措置として、北朝鮮のウェブサイトへのアクセス制限を解除する方針を明らかにした。また2010年3月に韓国海軍の哨戒艦「天安」が北朝鮮に撃沈されたことを受け李明博(イ・ミョンバク)政権が同年5月24日から導入した独自制裁(5・24措置)の解除宣言も検討するという。
アクセス制限が解除されるのは約60のウェブサイトで、朝鮮労働党機関紙の労働新聞や朝鮮中央通信などのメディアが運用するサイトも含まれる。
同部はアクセス制限の法的根拠となっている情報通信網法の改正に向け国会と協力する方針だ。情報通信網法は、国家保安法で禁止している行為を遂行する内容の情報を放送メディア通信審議委員会の審議を経て遮断できると規定している。
同部の金南中(キム・ナムジュン)次官はこの日、記者団に対し「国家機関が北の情報を独占し、その一部を選別して提供する方式から脱する」と述べた。「主権者である国民が北の情報に自由に接し、成熟した意識水準を土台に北の実状を自ら比較、評価、判断できるよう北の情報開放を持続的に拡大していく計画」と説明した。
また政府は26日、国家情報院(国情院)や統一部など関係官庁が参加する「特殊資料監督部処協議体」を開催し、これまで「特殊資料」に分類されていた労働新聞を「一般資料」に分類することを確認し、30日から実施するよう各方面に通知した。これを受け、この日から労働新聞は全国約20の機関で誰でも自由に閲覧できるようになった。これまで特殊資料を扱う機関のみが購入することができたが、今後は図書館などの購入も可能になる見通しだ。
同部はまた、北朝鮮を脱出して韓国で生活している住民を指す「脱北民(脱北者)」という呼称はネガティブなイメージがあるとの認識を考慮し、「北郷民」に段階的に移行すると発表した。
ただ一部の脱北者団体は名称変更に反対しており、物議を醸しそうだ。統一部が脱北者1000人を対象に行った調査でも、53.4%が名称変更に反対した。
一方、統一部高官はこの日、5・24措置の解除宣言について「これまでの政権でも議論があったため、総合的に検討する」と説明した。同措置の解除宣言は業務報告で非公開で議論された。
同措置は南北交易の停止、北朝鮮への新規投資の禁止、人道的支援を除く対北朝鮮支援事業の見合わせ、北朝鮮船舶の韓国海域の航行禁止などの内容が含まれている。
統一部は同措置について、2020年に「実質的な効果を失い、南北交流協力の障害にはならない」と発表したが、解除宣言はしなかった。同部は措置の解除宣言に実質的な効果はないものの、相互信頼を再構築しようとする政府の意思を示す「ジェスチャー」になり得ると考えているようだ。