「平壌無人機潜入事件、何の証拠調べも行われていないのに勾留したまま裁判」 被告人・尹錫悦、初公判で裁判部忌避を申請するも当日中に撤回

 利敵罪の疑いが持たれている、いわゆる「平壌無人機潜入」疑惑事件の初公判で、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領側が裁判部忌避を申請したものの、当日中に撤回した。

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 ソウル中央地裁刑事合議36部(裁判長:李政燁〈イ・ジョンヨプ〉部長判事)は12日、尹・前大統領と金竜顕(キム・ヨンヒョン)前国防相、呂寅兄(ヨ・インヒョン)前国軍防諜(ぼうちょう)司令官の一般利敵容疑事件の初公判を開いた。この日の裁判は非公開で進められ、尹・前大統領側と金・前国防相側は裁判部忌避申請を出したと伝えられた。

 尹・前大統領の弁護人団は、忌避申請に関して「何の証拠調べも行われていない状態にもかかわらず被告人を勾留したまま裁判を進めているのは、刑事裁判の基本原則と裁判実務に照らしてみて極めて異例かつ非常識な措置」だという趣旨で主張した。また弁護人団は、証拠能力を認めるかどうか判断されていない被疑者尋問調書と供述調書を特別検察官(特検)チームが提出し、裁判部がこれを勾留審査の検討資料として使用し、起訴事実についての予断を持った状態で裁判を進めている―と問題にもした。

 ただし尹・前大統領側は、同日午後6時ごろに忌避申請を撤回した。弁護人団は、撤回の背景について、できる限り裁判所と協議して日程を調整してみようという弁護人団の意見と尹・前大統領の意向を反映したものだと説明した。

 この日の公判には、尹・前大統領をはじめ主な被告人が全員出席したと伝えられている。裁判は、被告人の身元を確認する人定質問と、一般国民が陪審員として意見を述べることができる「国民参与裁判」を行うかどうかを決めた後、非公開に切り替えられた。裁判部は「裁判の過程で多数の国家機密がさらされると予想され、審理を公開したら国家の安全保障を害する恐れがある」として、結審前まで毎回の公判で、その前に行われた手続きと当日の手続きを告知した後、非公開にするかどうを決めたい、と表明した。

 平壌無人機疑惑は、2024年10月に当時の尹大統領が、平壌に無人機を送り込んで北朝鮮との軍事的緊張を高めておいて、これを非常戒厳の名分にしようとした―という内容を骨格としている。尹・前大統領などは、24年10月ごろにドローン作戦司令部へ平壌無人機潜入を指示した疑いが持たれている。特検チームは、当時投入された無人機が平壌付近で墜落し、作戦や戦力など軍事機密が流出したことを挙げ、一般利敵罪が成立するとみているものと伝えられている。

 一般利敵容疑は、敵と通謀したかどうかとは関係なしに、韓国の軍事上の利益を害したり敵国に軍事上の利益を供与したりした場合に適用されることから、裁判の過程では無人機を投入した経緯や指示の体系、軍事上の利益の侵害または供与の具体的内容が主な争点になると見込まれている。

ユ・ビョンフン記者

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