ホームで空席目立つ観客席、サッカー韓国代表監督はなぜ沈黙を守っているのか【寄稿】

「テーハンミングク」と叫ぶ経験を喪失
洪明甫(ホン・ミョンボ)監督のリーダーシップと発信力に問題はないのか
ファンは同じ船に乗る仲間だ

 この不安はスタジアムで目に見える形で現れた。先日の国際Aマッチで、以前は想像もできなかった空席が目についた。韓国代表が試合をするとき、スタジアム周辺がチケットの手に入らなかったファンであふれ混乱するのは当然だったが、今回その試合会場はあまりに静かだった。この現実を決して軽く考えてはならない。国民が同じ空間で「テーハンミングク」を共に叫び、泣いて笑う大切な時間が失われつつあるのだ。

 ファンダム(熱狂的なファン層)とは「順調なときに良くなる関係性」ではなく、関係そのものだ。私が好きな歌手なら新曲が期待外れでもアルバムを買うし、スポーツチームなら成績がパッとしなくてもスタジアムにやって来るのがファンダムだ。ただし歌手でもスポーツチームでも現状についての説明がなく、方向性が共有されなかったと感じた瞬間からファンは距離を置き始める。

 空席が目立つスタジアムは実力への失望ではなく、関係が緩んでいることへの警告だ。しかしそれでもファンと同じ時間と空間を共有できるチャンスは残されている。その解決作は「結果で報いる」という宣言ではなく、心を開いたコミュニケーションと思いの共有だ。プロセスの説明がなければ信頼は造成されず、一度緩んだ関係は結果だけでは回復できない。逆にプロセスが共有されればファンはスタジアムに足を運び、集団のエネルギーが生み出される。

 今こそ沈黙を破らねばならない。W杯という壮大な旅にファンと国民をコミットさせる戦略はコミュニケーションだ。ヒディンクはそれまで考えもつかなかった高い目線でビジョンを提示し、新たなトレーニング方法を取り入れた。またパウロ・ベントがロングボールではなくビルドアップを訴えた時、国民は結果よりも先にそのプロセスに納得した。結果を残した監督たちはファンを韓国代表の見物人ではなく、代表チームにコミットさせ同じ船に乗せたのだ。

 話が苦手だとか無愛想だとかは理由にならない。定例会見、データに基づく説明、サッカー協会のシステムや別のメッセンジャーを活用するなどしてメッセージを出し続けねばならない。それがあって初めてファンと国民は期待を持ってコミットし、選手たちにも「俺たちは国民の後押しを受けている」という確信を持たせることができる。

 また韓国代表と監督の義務はW杯で結果を残すことにとどまらない。準備そのものを大韓民国サッカー全体の公的な資産とすべきだ。世界のトレンドを分析し、これを独自に解釈して蓄積した哲学、戦術、経験を各レベルのリーグやユースに浸透させねばならない。W杯が終わった後に残るものが試合の結果だけなら、それは失敗と言うべきだ。逆にそのプロセスで整理されたデータや経験が次の世代の肥やしになるなら、そのW杯に出場した韓国代表は成功したと言える。そのためプロセスの共有は選択ではなく義務だ。

 リーダーシップの本質は自らのビジョンと今流している汗の意味をメンバーに説明し納得させることにある。方向性が共有されない状態で目標を設定しても選手は動かないし、共感のない成果は長続きしない。結果は管理できないが、プロセスを共有し信頼を得ることは全面的にリーダーの選択と誠実な努力がないと達成できない。

シム・チャング=スポーティズン代表

【表】 サッカー韓国代表監督の義務と課題

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