ソウル中央地裁が19日に尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の内乱罪を認めたことについて、保守勢力の一部からは「憲法が定める大統領の権限で戒厳令を宣言したのに、内乱罪で処罰できるのか」という疑問が提起されている。戒厳令の宣言は大統領の非常権であり、国会が解除を要求することもできるため、司法審査の対象にはならないとの解釈だ。たとえ法律違反の有無を問うとしても、要件を満たしていない戒厳法違反に当たるか否か程度のことではないかとの声も上がっている。野党国民の力の張東赫(チャン・ドンヒョク)代表も20日、「国民の力は常に戒厳令がすなわち内乱ではないという立場を明確にしてきた」と述べた。
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しかし、一審のソウル中央地裁は「大統領も内乱罪の主体になり得る」と明言した。判決は刑法上内乱罪の主体に制限がなく、憲法も大統領が内乱罪の主体となり得るとの前提の下に「大統領は内乱・外患罪をを除き、在職中に刑事訴追を受けない」という条項があると説明した。その上で、裁判所は内乱罪を「国土僭窃(せんせつ)」と「国憲紊乱(びんらん)」に分けて判断した。国土僭窃は一部地域で起きた独立戦争のように、多数の組織化された勢力が自分たちの国家を築くために蜂起することを指し、一般市民は通常こうしたケースを内乱と見なす。裁判所も軍の最高指揮権を持つ大統領に国土僭窃目的の内乱罪を適用するのは困難と判断した。
ただ、憲法機関の機能を麻痺させる国憲紊乱目的の内乱は大統領も犯す可能性があると判断した。大統領が自らの権力を保護または維持するために、国家権力の別の柱である立法権や司法権を侵害した場合、国憲紊乱目的の内乱罪で処罰可能との判断だ。
ソウル中央地裁は「原則として大統領の非常戒厳宣言自体は内乱罪に該当しない」と述べた。戒厳令の要件を満たしていなければ、国会による弾劾などで政治的責任を負うべきとの見方だ。ところが、尹前大統領の場合、軍を国会に出動させ、政治家の逮捕を試みるなど、憲法機関の機能を相当期間妨害または麻痺させる目的が明確であり、暴動も伴ったため、内乱罪が成立すると判断した。同地裁は1987年の第9次憲法改正で大統領の国会解散権はなくなったため、国会に議員が集まることを妨げたり阻止しただけでも内乱罪になると説明した。
イ・ミンギョン記者