【ソウル聯合ニュース】常設仲裁裁判所(PCA、オランダ・ハーグ)が韓国政府に対し、米投資ファンドのエリオット・マネジメントへ約1億782万ドル(約167億円)の賠償支払いを命じた投資家対国家の紛争解決(ISDS)に基づく仲裁判定を巡り、韓国政府が英国の裁判所に提起していた取り消し訴訟で勝訴した。韓国法務部が23日、発表した。
韓国のサムスングループは2015年、創業家の経営権継承に絡み、第一毛織とサムスン物産の合併を進めた。当時サムスン物産の株式の7.12%を保有していたエリオットは、合併比率がサムスン物産の株主に不合理だとして合併に反対したが、株主総会で可決された。
これについてエリオットは韓国政府が、サムスン物産の大株主で韓国政府系の国民年金公団に賛成票を投じるよう圧力を行使したと指摘。韓米自由貿易協定(FTA)で定めた義務に韓国政府が違反したとし、18年、ISDSの手続きとしてPCAに仲裁を申し立てた。
23年にPCAはエリオット側の主張を一部認め、韓国政府に賠償金と遅延利息1億782万ドルの支払いを命じたが、韓国政府は韓米FTAの「管轄違反」を根拠に、PCAが裁判を行う権限のない事件について裁定したと主張。取り消しを求める訴訟を英国の裁判所に起こした。
24年8月の一審判決で同裁判所は、韓国政府が根拠に挙げた韓米FTAの条項は英国の仲裁法上、裁判権がある領域ではないとして訴えを却下した。
25年7月に二審の英国控訴院は、韓国政府の主張を認め、審理を一審の高等法院(高裁)に差し戻した。
差し戻しを受けた高等法院は、PCAの仲裁判定に取り消し事由があるかを検討した結果、この日、韓国政府側の請求を認め、仲裁判決を取り消す決定を言い渡した。
今回の判決により、韓国政府の賠償責任を認めた元の仲裁判決は効力を失い、事案は再び仲裁手続きへと差し戻された。