北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記は第9次朝鮮労働党大会報告で「最も敵対的な実体である韓国を同族という範囲から永遠に排除する」「(核攻撃で)韓国を完全に崩壊させる可能性も排除しない」と発言した。韓国国民を全て殺害できると脅迫したのだ。戦争中のロシアとウクライナでさえやらないレベルの脅迫であり、まさに狂気に満ちた毒舌だ。李在明(イ・ジェミョン)政権に対して金正恩総書記は「融和的な態度は欺瞞(ぎまん)であり駄作」と批判した。韓国では今の政権が発足すると同時に国家情報院は北朝鮮向けラジオ放送を中断し、韓国軍は拡声器撤去と韓米合同軍事演習縮小に乗り出し、さらには北朝鮮の核保有を認めることを示唆するなど、ありとあらゆる融和策を進めてきた。しかし金正恩総書記はこれらを一蹴したのだ。
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金正恩総書記の言動の理由は「韓国の執権勢力は和解と協力の機会を通じ、(北朝鮮)内部にやつらの文化を広めた」「これを通じて(北朝鮮)体制の崩壊を狙った」などの発言に表れている。北朝鮮は過去に共に民主党政権と活発に交流したが、実は交流が進むほど北朝鮮住民の間に「韓国は豊か」という認識と韓国への憧憬(しょうけい)や羨望(せんぼう)が広がった。北朝鮮にとっては太陽政策の意図せぬ副作用だった。
この結果、金氏王朝が動揺する危機を目の当たりにしたため、金正恩総書記は韓流との戦争に乗り出している。まず北朝鮮住民に韓国を羨望させないため「敵対的2国家」などと言い始めた。「南朝鮮」ではなく「韓国」という言葉を使い始めた理由も、南北を通常の異なった国と認識させるためだ。さらに中国との国境に二重の鉄条網を設置することで北朝鮮全体を刑務所とし、韓流や脱北を防ごうとしている。金正恩総書記の立場からすれば南北交流はやりたくてもできないのだ。
これが金正恩総書記の言動の根本的な理由だが、李在明大統領はどういうわけか韓国側に問題があるかのような発言を繰り返している。李在明大統領は「北朝鮮を侮辱あるいは脅迫する行為は平和にプラスになるのか」「対決と戦争に突き進んだ過去を清算すべきだ」などと述べた。侮辱や脅迫を受けているのは韓国であり、対決と戦争に突き進んだのは金正恩総書記だ。李在明大統領は何を意図してこんなことを言うのか。これほど核の脅威を受けているのに、韓国政府はこの点に全く言及もしていない。
現政権が南北イベントになぜこれほど執着するのか理解できないが、それでもイベントをやりたいなら金正恩総書記の言動とその背景についての明確な理解が必要だ。今の政策は現状認識の段階から間違っている。