今回の報告書は、韓国で李在明(イ・ジェミョン)政権発足以降、北朝鮮に対する融和路線の中で統一部が拉致被害者対応チームを解体し、北朝鮮の人権に関する年次報告書の発行を中止したことに言及。「北朝鮮に対する人権支援に与える影響を巡り、市民社会団体の懸念を生んだ」と指摘した。韓国政府は2016年に北朝鮮人権法を制定後、18年から北朝鮮の人権実態を記録するための報告書を発行し、23年から一般公開したが、昨年は非公開どころか報告書自体を作成しないことを決めた。また、統一部長官の直轄だった「拉致被害者対策チーム」の機能を社会文化労働局内の離散家族拉致課に統合し、事実上解体した。鄭東泳(チョン・ドンヨン)統一部長官は、北朝鮮からの脱出者を指す用語を従来の「脱北民」から「北郷民(北朝鮮を故郷とする人を指す)」に変更する意向を示しており、国際社会や対北朝鮮人権団体から批判を受けている。
報告書は米政府に対し、北朝鮮の特別懸念国再指定に加え、財務省による制裁課税、国務省内での北朝鮮人権特使職の維持・増員、脱北者の強制送還停止を求める対中外交圧力などを求めた。また、議会には22年に失効した北朝鮮人権法の再承認立法を推進するよう勧告した。これに先立ち、ルビオ国務長官は昨年4月の韓米日外相会議で北朝鮮の人権侵害に共同で対処することに合意し、議会には北朝鮮人権法の再承認法案が提出され、現在審議中となっている。
ワシントン=金隠仲(キム・ウンジュン)特派員