【NEWSIS】HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染していたノルウェーの男性が、兄弟から骨髄移植を受けた後、ウイルスが事実上検出されない状態まで到達したことが分かった。医療陣は今回のケースが、世界で5番目のHIV完治例だとしている。
AFP通信が13日(現地時間)、報じた。それによると、オスロ大学病院の研究チームが今回のケースを国際学術誌「ネイチャー・マイクロバイオロジー」に発表したという。
「オスロ患者」と呼ばれていたこの男性は、2006年にHIVに感染し、17年には血液のがんの一種である骨髄異形成症候群(MDS)との診断を受けた。その後、20年に兄弟から骨髄移植を受けた。
このとき、医療陣は提供者(ドナー)である兄弟がHIVの細胞浸透を防ぐCCR5変異遺伝子(CCR5-delta32)を保有していることを確認。この変異遺伝子は、HIVが体内細胞に侵入するのを阻止することが知られており、北欧では人口の約1%にしか見られない希少な遺伝子だ。
患者は移植後およそ4年間にわたり抗レトロウイルス治療を並行し、最近になって治療剤を中断したが数カ月にわたり体内でHIVが検出されない状態が続いている。
研究を主導したミュレー博士は「現在、患者からは複製可能なウイルスの痕跡は全く確認できない」として「事実上完治したと判断している」と明かした。
HIVの完治例は今回が初めてではない。2008年には「ベルリン患者」と呼ばれたティモシー・レイ・ブラウンさんが世界で初めての完治例として報告された。ブラウンさんは白血病の治療過程でCCR5変異遺伝子を持つドナーから骨髄移植を受け、HIVが完治したと判定された。しかしその後白血病が再発し、2020年に亡くなった。
その後、ロンドン、ニューヨーク、ジュネーブ、デュッセルドルフなどでも同様に、CCR5変異遺伝子の移植によってHIVと血液のがんを同時に克服したケースが報告された。
ノルウェーの男性は現在、健康な状態を維持しており、研究陣はこれ以上男性を「患者」と呼ぶのは適切でない可能性があると述べた。
トレセイド博士は「男性はもはや患者ではない可能性もある」として「本人もそう感じている」と話した。
ただし医療界では今回のケースについて、一般的なHIV治療法と考えるのは困難だとしている。骨髄移植は高いリスクを伴う高難度の治療であり、CCR5変異遺伝子を持つドナーを見つけること自体が非常に難しいからだ。
専門家らは今回のケースについて、HIVの完治可能性を再確認した重要なケースだとして、遺伝子編集(ゲノム編集)など次世代の治療研究に重要な手がかりを与えるとみている。
キム・ヘギョン記者