【NEWSIS】中国政府は中国に進出した多国籍企業がサプライチェーンの見直しなどを理由に中国国内から工場を他国へ移転することを防止する規則を設け、論議を呼んでいる。
【写真】米中貿易摩擦で閑古鳥が鳴く中国のタオル卸売街(河北省保定市高陽県)
ニューヨーク・タイムズは14日、中国が国外にサプライチェーンを移転しようとする企業や幹部に不利益を与えることを目的としたいわゆる「デカップリング防止」措置を取りまとめたことに対し、欧州連合(EU)商工会議所などが反発していると報じた。
李強首相は今月2日、産業およびサプライチェーンの安全リスクを防止するための18項目の措置に署名し施行した。
それによると、規制当局はサプライチェーンの移転を進める企業を調査する際、従業員を尋問したり、企業側の記録を検討したりできる。また、外国企業が本国の圧力でサプライチェーンを他国へ移転したと疑われる場合、該当する企業や個人の中国からの出国を禁止できる。
同紙は今回の措置について、外国企業が自国の政治的圧力を受け、中国のサプライヤーとの取引を中止しようとする場合、該当する外国企業を調査、処罰するための包括的な新規則だと報じた。
今回の措置を巡っては、多国籍企業のサプライチェーン移転を調査できるよう規制当局に既に付与された強大な権限をさらに強めるものだと受け止められている。アナリストは今回の規制で外国企業が中国国内の合弁事業から撤退したり、海外のサプライヤーに発注先を変更したりすることがさらに困難になる可能性があると指摘している。
在中国EU商工会議所のイェンス・エスケルンド会頭は「明確で透明な法的手続きが不足している状況で、個々の従業員が出国禁止などの処罰を受ける可能性があるという脅しは懸念されるものだ」と述べた。
中国国務院(中央政府)は、これらの措置が国家経済の安定と国家安全保障を守るために必要だと正当化した。ニューヨーク・タイムズは「以前にも企業への圧力行使を拡大する際に用いられた論理と同じだ。中国は国家機密情報が海外に流出するのを防ぐため、包括的な国家機密法を制定した」と解説した。
在中国米国商工会議所のマイケル・ハート会頭は、今回の規則の草案作成過程で外国企業との協議が行われていなかった点を指摘し、中国国内の外国企業を標的とする法的脅威が積み重なれば逆効果を招く可能性があると警告。その上で「もっと明確な説明が必要だ。さもないと、外国企業は中国への投資をさらにためらう可能性がある」と懸念した。
ニューヨークに本社を置くサプライチェーンマップ会社アルタナのエバン・スミス最高経営責任者(CEO)は、中国の国際的な港湾ネットワークと港湾管理ソフトウエアが中国の管理者に多国籍企業のサプライチェーンに関する詳細情報を提供し、企業が他のサプライヤーに乗り換えるタイミングを把握できるようになると指摘した。
ニューヨーク・タイムズは、今回の規定は中国がほぼすべての製造業分野を支配する中、低コスト・高品質な生産を求めて中国の工場に集まっていた外国企業が自国回帰の動きを見せたことが背景にあると説明した。外国企業は、自国内での生産から撤退しないよう求める自国政府からの圧力に加え、中国での事業環境がますます厳しくなっているという認識などから対中依存度を下げようとしている。
外国の自動車メーカーは、中国市場の低迷を受けて次々に工場を閉鎖している。アナリストは中国がそうした流れにブレーキをかけるため、外国企業の工場移転を困難にするデカップリング防止規定を設けたとみている。
ク・ジャリョン特派員