韓国統一部(省に相当。以下同じ)の鄭東泳(チョン・ドンヨン)長官が平安北道亀城市を北朝鮮の「第3のウラン濃縮施設の所在地」だと明かした後、米国側がこれを両国間における機密流出だとして抗議し、北朝鮮情報の共有を一部停止したことが分かった。鄭長官は「CSISの報告書などで『亀城地域において北朝鮮の核開発活動がある』ということが繰り返し提示されていた」と主張したが、名指しされた戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ韓国フェローは「CSISは亀城の核施設に関する報告書をただの一度も作成したことはない」と反論した。
米国の朝野において代表的な韓半島の専門家に挙げられるビクター・チャ韓国フェローは21日、X(旧ツイッター)で鄭長官の投稿をシェアしつつ「事実関係を正すために申し上げる」として、このように表明した。鄭長官は、情報流出を巡る論争が続くや、KBS放送のニュース報道、CSISの報告書を引用したとして「亀城地域で核開発活動があるという話は繰り返し提起されていた」「既にかなり前から公開情報を通して分かっている事項」だと述べた。ところが肝心の、鄭長官が「引用した」と主張するCSISで韓国研究プログラムを総括しているビクター・チャ韓国フェローが「事実を正すために申し上げる」として、そのような報告書を作成したことはないと反論した。韓国政府の支援を受けて韓半島問題を研究しているシンクタンクの関係者が、韓国政府の閣僚級の人物の主張に直接反論するのは極めて異例だ。
鄭長官の発言があった後、米国は4月上旬から韓国向けの北朝鮮情報の共有を制限したという。韓国国会国防委員会の委員長を務める保守系最大野党「国民の力」所属の成一鍾(ソン・イルジョン)議員は21日、「国防委員長として把握している情報によると、鄭長官が北朝鮮の第3の核施設所在地として亀城市に言及したことに対し、在韓米軍司令官が安長官(韓国国防部の安圭伯〈アン・ギュベク〉長官)を緊急に訪ねて抗議した」「これは、鄭長官の発言がどれほど深刻な機密流出だったかを証明する尺度。駐韓米国大使館の情報責任者も国家情報院(韓国の情報機関)にこの問題について強く抗議した」と述べた。なお、この事案に関連して李在明(イ・ジェミョン)大統領は「亀城核施設の存在の事実は各種の論文、メディアの報道で既に広く知られていた」とし「いったいなぜこんなでたらめなことが起きているのか、詳しく調べてみたい」とコメントした。
鄭長官は昨年9月にも、報道機関との懇談会で、北朝鮮の高濃縮ウラン(HEU)保有量は「2000キログラムと推定される」と発言した。これは国防白書が「相当量」と控えめな書き方をするほどにデリケートな情報であり、物議を醸したことを受け、遅まきながら統一部が「情報機関の推定」だと但し書きを付け「米国科学者連盟(ASF)=原文ママ=など専門家の分析に基づくもの」と修正した。鄭長官は同年10月の訪独当時、「北朝鮮は今や米国本土を攻撃できる3大核戦略国家になった」とも発言した。外交部の韓半島平和交渉本部長を務めた金健(キム・ゴン)国民の力議員は「外交分野において、高位当局者の発言は単なる個人の意見ではない」とし「大統領が、繰り返される問題を正すよりも公にかばっているというのが恐ろしい」と批判した。
ワシントン=金隠仲(キム・ウンジュン)特派員