今月1日から3日にかけて来韓したアリソン・フッカー米国務次官(政治担当)は、趙顕(チョ・ヒョン)外交長官と会談した後、3日に交流サイト(SNS)「X(旧ツイッター)で「趙顕長官とわれわれの活気に満ちた民主主義を保存する重要性について省察した」と述べた。韓国で第9回全国同時地方選挙が行われた同日、フッカー次官は「今日は韓国の投票日ということで、いっそう関連性が深い」と語ったが、皮肉にもソウル市内の松坡・広津など一部の投票所で用意されていた投票用紙が不足し、投票が中断されるという前例のない事態が発生した。投票用紙が不足し、有権者が参政権を行使できず、長時間待たされたり、帰宅したりしなければならない「ballot paper shortage(バロット・ペーパー・ショーテージ、投票用紙不足)」は米国の選挙でも珍しい事例だ。
米ペンシルベニア州北東部のルザーン郡では2022年、投票用紙が不足し、一部の投票が中断される事態が発生した。これにより、投票できなかった有権者2人が郡を相手取り訴訟を起こしたが、郡は訴訟費用として3万ドル(現在のレートで約480万円)を支払い「十分な投票用紙の発注方法」などを含む選挙管理要員の教育を約束する条件で和解し、訴訟を終わらせた。投票用紙が足りずに投票できなくなると、裁判所が2時間の投票時間延長を命じるなどして問題発生当日は大きな混乱があった。しかし、郡の地方検察庁は翌年6月、「投票を妨害しようという意図はなかった」「選挙監督官たちは経験不足だった」という調査結果を発表した。
2022年8月の中間選挙を前にアリゾナ州ピナル郡で行われた予備選でも、20カ所以上の投票所で投票用紙が不足し、最大で2000人の有権者が投票できずに帰るという事態が発生した。その後、郡側は「重大なミスの大規模な発生を目撃した」と謝罪し、選挙手続きの全面的な改編を誓った。予想より多くの有権者が押し寄せ、一部の投票所では投票用紙がなくなり、さらにプリンターが古くて性能に限りがあり、新しい用紙を印刷したり、受け取ったりするのに長い時間がかかったという。一部の有権者には「後でまた来てほしい」という意味で番号札が発行されたという。この出来事はドナルド・トランプ大統領をはじめ、米共和党が強調する「選挙の透明性」運動に火を付けたと言われている。
投票用紙が不足したわけではないが、米国を代表する「swing state(スイング・ステート、激戦州)」アリゾナ州マリコパ郡では同年11月、投票日に投票所の投票機が故障し、投票用紙のスキャン・印刷に問題が発生した。老朽化した一部の機械が用紙を認識できなかったものだが、予想以上に多くの有権者が集まったことも一因だった。郡は投票所の保管箱に投票用紙を別途に保管し、その後、別途に開票することにしたため、選挙の信頼性をおのずと損なうことになった。これは、州知事選に出馬したものの落選したMAGA(アメリカを再び偉大に、トランプ支持)派の人物カリ・レイク氏(現:駐ジャマイカ米国大使指名者)らが「選挙無効」を主張する決定的なきっかけとなったが、裁判所はこの主張を受け入れなかった。
ワシントン=金隠仲(キム・ウンジュン)特派員