6月の護国報勲の月を迎え、ソウル市竜山区の戦争記念館は6・25(韓国戦争)を韓国と中国双方の観点から比較するプログラムを制作した。小学校4年生以上を対象とするこのプログラムの名称は「6・25戦争、互いに異なる解釈」で、戦争記念館は「6・25戦争をさまざまな角度から理解できるよう企画した」と説明している。ホームページの案内画面には韓国と中国の子供がそれぞれ「6・25戦争」「抗米援朝」と思い描くイラストが表示されたが、市民の抗議が相次いだため戦争記念館はこのイラストを削除した。
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「抗米援朝」とは「中共軍が米国に対抗し北朝鮮を支援した」という意味で、中国が6・25参戦を正当化するために使う言葉だ。中国は1990年代に入るまで児童生徒たちに6・25を「北侵」と教えていたが、ソ連崩壊後に「南浸」の証拠が次々と出てくると、今度は「米国が中国に圧力を加えるため参戦した」と主張し始めた。習近平国家主席は6・25を「正義の戦争」と説明しているが、これは明らかに歴史歪曲(わいきょく)であり、中共軍により多くの犠牲を強いられた韓国国民を改めて侮辱する許しがたい冒とくだ。
6・25は金日成(キム・イルソン)が毛沢東とスターリンの許可と支援を得て起こした戦争であり、そのことを示す証拠はあふれかえっている。北朝鮮軍が押し返されると中共軍が南侵して韓国軍兵士や国民を数多く殺害し、韓半島統一を妨害した。韓国国民の犠牲者は100万人を上回る。「抗米援朝」という言葉はこの明らかな歴史を歪曲し、被害者を加害者に、加害者を被害者に仕立て上げるまた新たな加害行為だ。
韓国社会では一時「6・25は南侵ではない」と主張する運動圏(左派の市民学生運動勢力)の詭弁(きべん)が横行し、6・25が南侵か北侵かを問う試験問題まで登場したことがある。戦争記念館が「6・25をさまざまな角度からうんぬん」するのもその延長線上だろう。侵略を受け100万人が犠牲になり、大きな被害が出た国に「さまざまな角度からの解釈」など必要なのか。
6・25南侵を否定する詭弁が通用しなくなると、次に登場したのが中共軍参戦の正当化論だ。光州にある中共軍歌の作曲家記念館もその一環であり、戦争記念館で「抗米援朝」という無理な歪曲を韓国の小学生に教えようとしたのもそのためだ。共に民主党政権でなければ想像もできないことだろう。韓国国防部(省に相当、以下同じ)は「6・25が北朝鮮による南侵から始まった戦争という歴史的事実を説明するため」と弁解しているが、それなら問題のイラストをなぜ削除し、またプログラムはなぜ中断したのか。イラストには「6・25南侵」ではなく「6・25戦争」と記載されている。
戦争記念館には年間300万人が訪れ、最近は外国人も年に50万人以上やって来る観光名所となった。特に6・25に参戦した国の外国人は自国の軍人が払った犠牲を知り感銘を受けるという。国連軍に参加した国の市民が戦争記念館で6・25を「抗米援朝」と描いたイラストを目の当たりにするとどう感じるだろうか。世の中にはやってよいことと悪いことがある。
戦争記念館で行われる講演では先日、革新系野党・正義党の元議員が登場した。韓国統一部長官は北朝鮮を「朝鮮」、報勲部長官は「人民共和国」と呼んだ。大統領が近く任命するという戦争記念事業会長が誰になるかを確認すれば、この問題の根源がどこにあるかが明確になるだろう。