バイトの平均年齢73歳…「若者の聖地」東京・渋谷にお年寄りが働くカフェ登場

店員17人全員がお年寄り

東京・渋谷のカフェ「G-CHA & Ba-CHA」

 「不安だろうけど、おじいちゃん・おばあちゃんの知恵を信じて未来に向かって進んでみて。つらい時はいつでもまた来てね!」

 東京・渋谷にあるテイクアウト・カフェ「G-CHA & Ba-CHA(ジーチャバーチャ)」。カウンターの向こうから、スタッフのかほるさん(78)がフランスから来たお客さんの手を握り、笑顔で声をかけた。日本語があまりできないというこのフランス人のお客さんは感激した様子で「ありがとう」とお礼を言って抹茶ラテを受け取った。そして、「少し前、夫に付いて東京に来たんですが、言葉や文化の違いになかなか慣れることができませんでした。ここに来て癒されました」と語った。

 G-CHA & Ba-CHAは「若者の聖地」渋谷にあるだけにおしゃれな雰囲気だが、どこか「おじいちゃん・おばあちゃんの家」に来たような心地よい空気も漂っていた。カウンターでお客さんを迎える「アルバイト」スタッフが全員、お年寄りなのだ。

 今年3月にオープンしたこのカフェでは、定年退職などして現役をリタイアしたシニアのアルバイトスタッフ17人が働いている。平均年齢は73歳、最高齢は80歳だという。一日3-6人ずつでシフトを組み、午前11時から午後7時まで営業している。カフェの名前の「ジー」と「バー」は日本語で「おじいさん」「おばあさん」を意味し、メニューのドリンクも「爺茶(ジンジャーほうじ茶)」「婆茶(ジャスミン緑茶)」のように個性あふれるネーミングだ。

 お客さんは注文したドリンクを待っている間や、次のお客さんがいない場合はドリンクを受け取った後も、スタッフと悩みを分かち合うことができる。この日も約1時間のあいだに北海道から来た20代の男性や台湾から来た女性観光客などが20分近く会話を交わして行った。同店を手がける「ENTAKU Producce(エンタク・プロデュース)」の関係者は「一日80-100人が『人生の先輩』たちのアドバイスを求めて来る」と語った。

 スタッフたちは「一人で上京して来て、『実家にいるおじいちゃんやおばあちゃんが恋しい』というお客さんが多いです」「進路、社会人生活、友人関係、恋愛までさまざまな悩みを打ち明けられるが、むしろ力をもらっているのは私たちの方です」と口をそろえた。

 「これまでの人生の半分を専業主婦として過ごしてきましたが、夫が亡くなった後にうつ病になりました。健康に過ごす方法がないかと悩んでいたところ、(G-CHA & Ba-CHAの)スタッフ募集広告を見て働くことになり、元気になりました」(かほるさん)。娘夫婦と一緒に暮らしているというかほるさんは、「家族と同じ屋根の下にいても会話する機会があまりありませんが、毎日頑張っている若いお客さんたちにと会うことができて、あらためて世の中のことを教わっています。おかげで娘との関係も良くなりました」と笑った。

 水産物加工の仕事をリタイアした均さん(70)も「仕事を辞めて12年間というブランクがありましたが、ここで働いて2カ月ほどで若者世代の流行に追い付くことができました」「毎日笑顔で話し、通勤のため歩いているうちに、血液検査で悪かった数値も目に見えて改善されました」と語った。ENTAKU Producceの関係者は「日本は世界的な長寿国であるのにもかかわらず、実際にお年寄りたちが活躍できる場が不足している」「お年寄りが『扶養される存在』ではなく、『社会を共に作り上げる存在』になれるよう、G-CHA & Ba-CHAのような新しい形態の雇用を引き続き創出していく計画だ」と語った。

 総務省によると、日本の高齢者(65歳以上)は約3620万人で、全人口の29.4%に達しているという。定年退職後にパートタイムや起業に挑戦する人も増加傾向にある。昨年は新設法人の代表のうち60歳以上の割合が20.5%に達し、過去最高を記録した。神戸国際大学経済学部の中村智彦教授は「経験豊富なシニアが新しい仕事に積極的に挑戦すればするほど、新たな雇用が創出されるという好循環が続いていく」と語った。

東京=キム・ドンヒョン特派員

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