韓国では、ストーカーや性暴力犯罪などの被害者が「裁判の過程で加害者が法定刑よりも軽い刑を宣告されたり、執行猶予で釈放されたりすることが多い」と語る。刑事裁判では、裁判官が被告人の刑期を決めるとき、法律に規定された犯罪別の「法定刑」を基準とするが、その際に大法院(最高裁)が設定した「量刑基準」を参考にする。法律で定められた刑期の範囲内で、裁判官が量刑基準に従って刑を軽くしたり重くしたりすることができる。しかし、この量刑基準には刑期を減らす減軽事由や執行猶予の事由が多く、加害者に対する厳正な処罰が行われていないのだ。
韓国において、犯罪の加害者に有利に働く代表的な量刑基準は「心神耗弱」「刑事処罰の前歴なし(初犯)」「真摯な反省」などだ。例えばストーカー犯罪の場合、法定刑は3年以下の懲役または3000万ウォン(現在のレートで約321万円。以下同じ)以下の罰金だが、量刑基準で勧告している刑期に減軽事由が加わると、懲役8カ月以下または罰金100万-1000万ウォン(約11万-107万円)に減る。そのため一部の弁護士は、加害者に裁判部へ毎日反省文を提出させたり、臓器提供誓約書を書かせたりして「反省している姿」を演出するよう裁判戦略を練るという。
専門家らは、韓国の刑法が採用している「競合犯加重主義」も加害者の厳罰化を阻んでいると指摘する。米国は、複数の犯罪を同時に犯した場合にそれぞれの罪の刑期をすべて足す「併科主義」を採用している。懲役3年の犯罪を3件犯した場合、懲役9年を宣告するといった具合だ。一方韓国は、複数の犯罪を同時に犯しても、刑期が最も重い罪を基準に最大50%までしか刑を加重しない。米国では懲役100年、200年の刑のような重い処罰が可能であるのに対し、韓国では数多くの被害者を生んだ連続犯罪者であっても刑期が大きく延びないのはこのためだ。