戦車・自走砲など「大型防衛産業」に集中する韓国…将兵の生命に直結する小銃への投資は不十分

「数兆ウォン規模に拡大する韓国軍の新型小銃事業、国内企業に任せて競争力を育てるべき」

戦車・自走砲など「大型防衛産業」に集中する韓国…将兵の生命に直結する小銃への投資は不十分

 韓国の防衛事業庁は、古いK2小銃を代替する「韓国型小銃II」事業の先行研究を進めている。早ければ今年下半期に事業推進基本戦略を樹立し、2028年ごろ事業に着手するというスケジュールだ。鍵となるのは推進方式。韓国産の新型小銃を開発するのか、既存の製品を国内外から買い入れるのか、まだ決まっていない。維持保守(メンテナンス)や付加装備まで含めて数兆ウォン(1兆ウォン=現在のレートで約1080億円)規模に拡大する開発事業を韓国企業が引き受けることになれば、K防衛産業の苦手分野だった個人火器のカテゴリでも競争力を高めることができる、との期待が出ている。

【図】小銃を含む小火器のグローバル市場の規模

 防衛産業強国である韓国が、唯一小銃において遅れをとっているのには構造的な理由がある。戦車・自走砲・ミサイルは北朝鮮の脅威に対応する核心戦力に挙げられ、韓国政府が数十年にわたり研究・開発と量産発注を続けてきたため、こうして内需で積み上げられた技術と生産基盤がこんにちの輸出競争力へとつながった。これに対し小銃は、1985年のK2配備以降、これといった大型事業もなく「使えればいい」という消耗品扱いを受けてきた。80万丁を超える保有量のせいで、全面更新の費用が負担となったという側面もある。

 米国の名門銃器メーカー各社は、巨大な民間銃器市場で技術と売上を蓄積し、軍の事業が始まれば飛び込むことができるが、民間人の銃器所持が事実上禁止されている韓国において、銃器メーカーの顧客は軍・警察など政府のみだ。政府の発注が途絶えれば、力量を維持する方法がない。その結果、韓国最大手であるSNTモーティブの昨年の防衛産業部門の売上高は1654億ウォン(約178億円)、2位のダサン技工は740億ウォン(約80億円)にとどまる。発注がないので売上が少なく、売上が少ないので研究・開発の余力が不足し、そのため再発注するに足る製品を出せない―という悪循環だ。SNTモーティブが2010年に韓国軍と共に開発した「K11複合小銃」が、装填(そうてん)された弾薬の爆発など技術的な問題で配備中止になったことも、こうした土壌と無関係ではない。

 小銃は精密加工と数十年にわたり蓄積された設計ノウハウが成否を分ける「蓄積の産業」だ。米国などの銃器先進国が、シグ・ザウエルやヘッケラー&コッホ(HK)といった100年前後の歴史を持つ名門銃器メーカーに新型小銃を任せる理由がここにある。米陸軍は1994年に配備されたコルトM4を代替する小銃としてシグ・ザウエルのM7を採用し、2024年から一部の部隊への配備を開始した。M7はK2の5.56ミリより大きい6.8ミリ弾を使用し、銃身の性能を強化して、600メートルの距離からボディアーマーを貫通するほど有効射程と貫通力で勝る。消音器や光学照準器も基本オプションだ。

 世界各国の軍隊による個人火器の現代化競争で、この市場は拡大している。市場調査会社フォーチュン・ビジネス・インサイトによると、世界の小火器市場は2025年の97億ドル(約1兆5700億円)から年平均3.4%ずつ成長し、2034年には131億ドル(約2兆1200億円)に達する見通しだ。韓国国防安保フォーラムの辛宗祐(シン・ジョンウ)事務局長は「K防衛産業はグローバル化しているが、小銃などの個人火器部門では非常に立ち遅れている」とした上で、「個人火器事業は研究・開発と売上の大部分を政府発注に依存しているが、韓国は唯一、将兵の生存と直結する個人火器には大きな投資をしていない」と指摘した。

ピョ・テジュン記者
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